捕まえて、離さない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
深夜。
可那子は眠れない夜を過ごしていた。
原因はもちろん恋次のことで。
布団から抜け出した可那子は、廊下に出て月明かりの眩しい夜空を見上げた。
「ん、よし」
小さく呟いた可那子の体が掻き消え、次の瞬間その体は屋根の上にあった。
「やった、ちょっと距離伸びたかな」
「こんな時間に瞬歩の練習か」
その時、満足げに独り言ちた可那子の背後から突然声がかけられた。
「きゃ…っ」
「ちょい待ち、それはやべぇ」
叫び声を上げてしまいそうな可那子の口が、大きな手でふさがれる。
「や…っ!離してっ」
驚いた可那子がその手を振り払おうと身をよじる。
「ちょ…待て可那子、俺だ、…暴れんな」
「えっ!?あ…っ!」
「危ね…っ!」
声の主が恋次だと気付けたまでは良かったが、次の瞬間バランスを崩した可那子は、かろうじて恋次に抱き止められていた。
「…ふぅ」
「すみません、またご迷惑を…」
「いや、今のは俺が悪い。驚かしちまったな」
「そんな…でも阿散井副隊長、なんでこんな所に…」
腕を掴む恋次の手を意識しながら、しかしそれを恋次には気付かれないよう平静を装い可那子は問いかける。
「そういうお前は?マジでこんな時間に瞬歩の練習か?」
恋次は可那子の質問には答えず、先ほどの問いを繰り返す。
「あ、いえそういうわけじゃ…ただ、眠れなくて。なんとなく、ここに…」
可那子はぽつぽつと答えた後、もう一度問いかける。
「副隊長は…」
「俺も眠れなくてよ。なんとなく霊圧探ってたら、…お前を見つけた」
恋次はそう言って、可那子を真っ直ぐ見下ろした。
「あ、あの…」
その吸い込まれそうな瞳に可那子はどうしていいか分からず、
「もう大丈夫ですから…」
とりあえず恋次の胸を押してみる。
しかし可那子がそう言うと、恋次はその腕に更に力を込めた。
「副、隊長…?」
「離さねえ。やっと手に入れたんだ…」
恋次はそう呟き、身を屈める。
「あ、待っ…」
可那子が思わず抵抗のそぶりを見せるが、
「待たねえ。…言ったろ?返事は“はい”か“YES”…だ」
囁くように言葉を紡いだ恋次の唇が、可那子のそれに重なる。
初めてのキス。
そこから伝わる恋次のぬくもり。
ずっとずっと触れていたいと、願わずにはいられない。
「ちょい、口…開けてみ?」
僅かに離れた位置で、恋次が囁いた。
「…っ」
開いたその隙間から、恋次の舌が滑り込む。
「ん…っ、ふ、ぅ…」
恋次の舌は可那子のそれを絡め取り、その動きにあわせて可那子は切なげな声を漏らした。
恋次はそんな可那子の唇を、更に深く犯していく。
「――…っ」
「お、おい、可那子!?」
しばらくそうしていると突然可那子のひざが崩れ、恋次が慌てて支える。
「すみません…力、抜けちゃいました」
そう言って照れたように笑う可那子に、恋次は軽いめまいを覚えた。
「今度は…」
「えっ!?副隊長っ」
可那子の体を抱き上げ、真剣な声で続けた。
「イヤならイヤって言ってくれ。…お前を、俺の部屋に連れて行く」
可那子の体がびくっと震える。
恋次もそれを感じ取ったはずだったが、何も言わず可那子の返事を待った。
可那子はきゅっと唇を結び、俯いたまま震える手で恋次の死覇装の胸のあたりを掴む。
それが返事だった。
「サンキュ…」
恋次はそう呟き、可那子を抱えなおす。
次の瞬間には、その場所からふたりの姿は掻き消えていた――。
1/3ページ