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「朽木隊長、今日も出かけるんスか。最近しょっちゅう出かけてますけど…あ、もしかして女でもできたんスかぁ?」
今日の隊務を終え執務室を出ようとしていた白哉は、からかうように言う恋次を一瞥すると表情を変えずに言う。
「無粋な言い方をするな。それに仮にそうだったとしても、
「へいへい…お気を付けて」
恋次は肩をすくめ、白哉を送り出した。
「時間外に失礼します。お届け物にあがりました。明日でいいので確認を…」
可那子が六番隊にお遣いに来たのは、白哉と入れ替わりだった。
「おう可那子、いいとこに」
可那子の顔を見るなり、楽しいことを思い付いた子供のように恋次の表情がぱっと明るくなる。
「は、はい、何でしょう、阿散井副隊長」
逆に緊張した面持ちで可那子は答える。
恋次と話すのは、これが初めてではない。
可那子はルキアと仲が良く、そのためルキアと仲の良い恋次とも自然に知り合った。
それからたまにこうして会った時などに会話を交わすうちに、可那子は少しずつ気持ちをあたため…恋次に恋心を抱くようになっていた。
「お前、知ってんだろ?」
「何を…ですか」
突然の問いかけに、問いで返してしまう。
「朽木隊長が出かける理由」
「!」
恋次はいたずらっぽい笑みを浮かべて言うが、その質問がくるとは思ってもいなかった可那子はかなり動揺する。
「な、な、何故、私が…?」
「だってお前、ルキアと仲いいだろ?隊長には黙っとくからさ。なぁ、教えろよ」
確かにルキアに聞いて知ってはいたが、口止めもされていた。
しかし、
『ち、近いから…!』
間近に顔を寄せられ、可那子の心臓が跳ね上がる。
『言えません、なんて言えないよぉ…!ルキア、ごめーん』
可那子は心の中でルキアに詫び、
「お、お付き合いされてる方がいらっしゃるようですが…」
跳ね上がった胸の鼓動を必死で抑えながら答えた。
可那子の答えに恋次は
「やっぱりか…。いいよな、隊長は男前だしよ」
がっかりしたように肩を落とす。
「副隊長だって、おもてになるでしょう?」
その言葉を聞いた可那子は、つらいけれど事実であろう質問を口にした。
「はぁ?俺のこと好きんなる物好きなんていねぇよ」
しかし恋次はその問いに否定で答える。
「ここにいます!」
なんて言えるはずもなく、
「ふふ、そんなことないと思いますけど。…じゃあ、これお願いしますね。お疲れ様でした」
可那子は届け物の書類を恋次に託すと、後ろ髪引かれる思いで恋次のいる六番隊の執務室を後にした。
しかしその思いは恋次も同じだった。
できればもっと一緒にいて、話していたかった。
せっかくのふたりきりのチャンスだったのだから。
「俺も大概情けねぇな」
ソファにどさりと体を投げ出し、窓の向こうに沈んでいく夕日を見ながら恋次は小さく独り言ちた。
「いい加減…ケリ、付けねぇとな」
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