キスをする場所10のお題
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「行ってきます」
スニーカーの靴紐をしっかりと結び終え、杉浦が立ち上がる。
その背中に、可那子はいつも通り心配そうな、けれど努めて明るい声をかけた。
「気をつけてね。…無理、しないでね」
仕事の内容は詳しくは聞かない。
けれど、彼が飛び込んでいく世界が、決して安全な場所ではないことを可那子は知っている。
ジェスターとしての過去、探偵としての現在。
「大丈夫。必ず帰ってくるよ」
杉浦は振り返ると、可那子の不安を拭うようにその肩を抱き寄せた。
サンダルとスニーカー、玄関のたたきでふたりの足先が向かい合う。
「おまじない、しとく?」
「…うん」
可那子が背伸びをするのに合わせて、杉浦も少しだけ屈みこむ。
行ってらっしゃいのキスは、これから戦場へ向かう彼にとっての最強の守り刀だ。
「いい子にしてて」
「子ども扱いしないでよ」
「はは、ごめん」
触れるだけの優しい口づけのあと、杉浦は可那子の頭をポンと撫でた。
ドアを開けると、外の風が吹き込む。
彼はもう一度だけ振り返り、決意を秘めた瞳で微笑んでから、雑踏へと駆けていった。
(玄関で)
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