キスをする場所10のお題
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エンジンを切った車内は、外の喧騒を遮断して静まり返っていた。
シートを少し倒し、杉浦は深々と息を吐き出す。
助手席の可那子も、長時間の移動に少し疲れたのか、ぼんやりと窓の外を流れる街灯を目で追っていた。
かつて、この狭い空間で可那子が泣きそうな顔をしていたことを思い出す。
怪我をして、彼女を心配させたあの日。
(もう、あんな顔はさせたくないな)
「文也?どうしたの、じっと見て」
視線に気づいた可那子が首を傾げる。
杉浦はシートベルトを外すと、身を乗り出して助手席の可那子との距離を詰めた。
「んーん。ただ、可那子が隣にいるなって」
「ふふ、当たり前でしょ」
「その当たり前が、嬉しいんだよ」
センターコンソール越しに身体を寄せ合う。
狭い車内だからこそ感じる、相手の息遣いと心音。
「…ん」
重なった唇から、互いの体温がじわりと伝わる。
ハンドルを握る手とは違う、優しく髪を梳く指先。
切れそうな外灯の点滅が、ふたりのシルエットを暗闇に浮かび上がらせては消していった。
(クルマの中で)
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