キスをする場所10のお題
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神室町のビル群の隙間から、燃えるようなオレンジ色の夕日が差し込んでいる。
路地裏のコンクリートも、無機質な看板も、すべてが黄金色に染まる時間帯。
並んで歩くふたりの影が、長く長く地面に伸びていた。
「綺麗だね」
「うん。…なんか、こういう時間久しぶりかも」
事件だ何だと騒がしい日々の中で、何もしない穏やかな夕暮れは砂金のように貴重だ。
風が吹くたび、可那子の髪がふわりと揺れて光を透かす。
その横顔があまりに綺麗で、どこか儚げで。
杉浦は無意識に足を止めていた。
「可那子」
「ん?」
呼びかけると、夕日を瞳に映した可那子が振り返る。
逆光の中で、彼女の輪郭が光って見えた。
「…好きだよ」
飾り気のない、直球の言葉。
可那子は一瞬きょとんとして、それから夕日に負けないくらい頬を染めて微笑んだ。
「わたしも。…大好き」
周囲に人はいない。
杉浦は一歩踏み出し、傾く陽の光に溶け込むように、その唇を重ねた。
世界が夜に飲み込まれる前の、ほんの一瞬の輝きの中で。
(夕日に照らされて)
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