抱き合ったあとは
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その日は午後から土砂降りの雨だった。
家にたどり着いた時、傘を持っていなかったあたしたちは下着までびしょ濡れだった。
タオルでお互いを拭き合ってみるけど、
「これじゃ埒があかないな。おいで、可那子。風邪をひいてしまう」
辰也がタオルを投げ出し、あたしの手を取った。
向かったのは浴室。
そこであたしたちは、今度はお互いの制服を脱がし合った。
熱いシャワーが冷えた体を温めていく。
すると辰也はいたずらを思いついた子供のようににこりと笑うと、ボディソープを泡立てた。
その泡であたしを洗い始める。
腕から肩、首、そして胸。
手のひらは触れず、肌を滑るのはふんわりとした泡だけ。
焦らされているような感覚に、体が少しずつ熱くなる。
タイルにぺたりと座り、低い浴室用イスに腰掛けたあたしの片脚を持ち上げた辰也は、つま先からゆっくりと泡を滑らせた。
つま先から太ももの付け根まで。
中心には触れない。
「…っ」
「どうした?可那子」
あたしがどんな状態で何を望んでいるか分かりきってるくせに、そんなことを訊いてくる。
「辰、也…」
あたしは手を伸ばした。
首に腕を回し、キスを求める。
腰に回された腕の感触にぞくりとした快感をおぼえながら、唇を重ね舌を絡めると、混ざり合った唾液が口端からこぼれ落ちた。
そして唇を離し強く抱き合った直後、辰也はあたしの体を離しその手にシャワーを握った。
「…ダメだ。泡も邪魔」
そう呟いた辰也は、熱いシャワーをざぁっとかけた。
生まれたままの姿で、あたしたちはもう一度強く抱き合う。
だけど、あたしはもう限界だった。
「辰也…」
名前を呼ぶ。
「…つながり、たい」
辰也は腕の力を緩めた。
「OK、おいで」
やわらかな笑みに誘われるように、あたしは辰也にまたがる。
もうこれ以上愛撫など必要ないそこに、お湯なんかよりもっと熱い塊が打ち込まれた。
腰を掴む手、突き上げる強さ。
鼓膜を打ついやらしい水音と、時折漏れる低い吐息。
それらに翻弄され、昂められていく体…。
頭が真っ白になって、何も考えられない。
体を駆け抜ける痺れるような快感に、あたしは辰也にしがみつき声を上げ続けることしかできなかった。
廊下が水浸しになるのも布団が濡れるのも構わず運ばれたベッドで、あたしたちは獣のように求め合い愛し合った。
意識を手放したあと訪れた心地よい眠りの中で、繰り返し響く一つの言葉。
I think very tenderly of you…
あたしはそれを聴きながら、今日も幸せな夢を見る――。
(13,7,3)
1/1ページ