immorality
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Devil May Cry―――…。
店先に点滅する派手なネオンに綴られた文字。
表向きは便利屋。その実は悪魔を退治するテビルハンターとして名を馳せているダンテの、スラム街の一画、薄汚い路地を抜けた突き当たりにある事務所の名前。
そしてそれはダンテの、悪魔たちが最も恐れる男の俗称であることを、知る者はいない。
泣きじゃくるももを慰め、彼女が落ち着くのを待って、ダンテは自分の事務所に連れて来た。
ももを独りにしてはいけないと思ったのも事実だが、これは彼女が望んだことでもある。
「……」
気に入りの椅子に身を預け、黒檀の事務所机に行儀悪く足を投げ出しながら、ダンテは妙に落ち着かなかった。
事務所内に流れるダンテの好きな8ビートのロックな曲も、彼の耳には入っていない。
「くそっ何なんだ?」
まるで初めて恋を知った少年のように高鳴る心。
彼をそうさせているのは、事務所の奥にあるバスルームで、雨に濡れた身体を温めているももに外ならない。
ダンテはももに恋い焦がれていた。
初めてバージルからももを紹介されたあの時から―――…。
だがももは、彼の双子の兄であるバージルの彼女だ。
分かっているさ……。
充分過ぎる程それは分かっていた。
「ダンテさん…お先にありがとうございました」
いつの間にバスルームから出てきたのか、バスローブ姿のももが立っていた。
濡れた衣類は現在ドラム式の乾燥機の中にある為、バスローブが彼女の洋服である。
「あ、ああ……」
濡れた黒髪はルーズに纏め上げられており、バスローブの襟元から覗くうなじ。
それに見とれてしまったダンテは、間の抜けた返事しかできなかった。
「あ、あのう?」
ダンテの自分を見つめる視線に戸惑いながらも、ももは胸が高鳴るのを自覚していた。
恋人に傷ついた女と、
その女に好意を持つ男。
―――誘ったのはどちらからだったか?
今はそんなことは関係ない。
黒檀の事務机の上に組み敷かれたももを見つめるのは、熱を帯びたサファイアブルーの瞳。
けれども、葛藤しているのか。
どこか苦しそうなダンテに、胸が締め付けられた。
「――――…」
腕を伸ばしダンテを抱きしめ、ももは囁く。
そこから二人に言葉は要らなかった―――…。