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それからの久瀬は時に可那子の部屋を訪れ、時に自分のもとへ可那子を呼び出した。
一方の可那子は当然いつでも嬉しそうに久瀬を迎え入れ、呼び出されれば何をおいても出向いて行った。
結果その姿は自然、拳王会の組員たちの目にも留まることになる。
しかし可那子の正体を知らない組員たちの認識は『久瀬のもとに通う情婦』。
美しいと形容されるに相応しい容姿から、自分の相手もしてほしいと考える輩がいてもおかしくはなかった。
可那子が久瀬に抱かれてからふた月ほど経った頃。
その欲望は、形を成してしまう。
***
「親父の相手は終わったのか?だったら次は俺らの相手もしてくれよ」
その日は拳王会の事務所で久瀬に抱かれた可那子。
そこから帰る可那子に、男はそう声をかけた。
「なに言ってんの?意味分かんない」
「まあそう言うなよ、気持ちよくしてやるから、…さ!」
相手にしようとせず歩き出す可那子の肩を掴んだ男は、言葉尻に合わせて可那子の腹部に拳を叩き込んだ。
強制的に意識を奪われゆっくりと崩れ落ちる可那子を抱き上げた男は、近くに用意しておいたワンボックスにその体を運んだ。
その中で待ち構えていたのは、数人の男たち。
可那子は意識のないまま、彼らに犯された。
***
目覚めた時、体に残る違和感を気のせいだと思い込みたかった。
しかし目の前のモニターに流れる映像の中にいるのは、間違いなく可那子自身だった。
残酷な現実を突き付けられて自分の身に起きたことを理解し言葉を失った可那子に、下卑た笑いを浮かべて男は囁く。
「これからも頼むぜ、お姉チャン」
自分ひとりの問題なら、撮られたビデオが流出しようが構わなかった。
卑屈に考えれば、世間体を気にする立場ではなかったから。
しかし久瀬に知られ、誰とでも寝る尻軽女だと久瀬に思われるのだけは嫌だった。
それにそもそも自分の存在は隠されているわけだから、それがおかしな形で明るみに出ることで久瀬に迷惑をかけるのも嫌だった。
自分が我慢すれば、久瀬には今まで通り抱いてもらえる。
その想いだけを胸に、可那子はその日から男たちの玩具となった。
***
男たちは巧みだった。
決して痕を残さず傷を付けることもなく、可那子の体を嬲るように弄んだ。
しかし可那子はその間決して声を上げなかった。
「あいつ、絶対声出さねえよな」
「でかけりゃいいってもんでもねえしな」
「やっぱテクか?」
「なあ、声出さした奴があいつを自分のもんにできるとかよくねえ?」
「お、それいいな」
誰が可那子に声を出させるか。
いつしか男たちはそれを競うようになっていた。
***
「今日はこれだ」
そんなある日、3人の男たちが可那子を囲んだ。
手首を拘束し、目隠しをする。
もちろん手首にはタオルを巻いてから縄で縛るという周到さだった。
前から後ろから、2人が好き放題に可那子を犯し精を吐き出す。
あと、ひとり…。
毎回カウントダウンしながら早く終わることだけを祈る可那子の腰を、3人目の男が掴んだ。
「ああぁ…っ!!」
直後、可那子は声を上げてしまっていた。
「…っ!ふ、あ、…んっ、あ、あぁ…っ!!」
可那子自身が一番驚き、焦って声を抑えようとするが止めることができない。
「や、あ…っぁ、ん、ああぁ…っ!」
バックからがつがつと突かれ、否応なしに昂められていく体。
手首を拘束している縄を結んだベッドの柵がガタガタと揺れた。
その後、体をひっくり返され足首を掴まれる。
「お願いもうやめ、いやなの、ああぁっ!」
開かれた中心、その最奥を抉るように腰を打ち付けられ、
「や、いやぁ、あ、あぁっ!いやあぁ――…っ!!」
悲鳴にも似た声を上げた可那子の意識は、真っ白な闇へと落ちて行った。
「あーあ、ハデにイきやがって」
男は不完全燃焼の自身を抜き、不満そうに言う。
しかしその後にやりと笑うと
「ま、これでこの女は俺のモンってことで文句ねえよな」
そう言って可那子の拘束を解き、その体を抱き上げた。
***
「あれ、久瀬…?え、ここ…なんで…」
気付いた時、可那子は久瀬の部屋にいた。
自分は確か、男たちに呼び出されいつものように屈辱を与えられていたはず…。
うまく働かない頭に少しずつ記憶が戻ってくる。
それと同時に湧き上がる疑問。
なんで…なんであたしここにいるの?
うそ…まさか、バレた…!?
パニックに陥ってしまった可那子は適切な言葉が見つけられない。
「ごめ、なさ…」
「別に俺のモンじゃねえし、謝る必要はねえだろ」
「…っ、」
やっと絞り出したそれに返された久瀬の言葉に胸が締めつけられる。
泣きそうになるのを必死にこらえて、可那子は反論した。
「…っ、でもあたしは、久瀬じゃなきゃいやだもん…っ!!」
すると久瀬は薄く笑う。
「俺じゃなきゃいやだって割には、やめてって泣いてたじゃねえか」
「それどういう…、って、え?うそ、まさか…」
「理解できたか?」
目を見開く可那子に久瀬はため息を吐いて見せた。
しかし続いた可那子の言葉には久瀬も僅かに驚きの表情を浮かべる。
「やっぱり…久瀬、だったんだ…」
「やっぱり、か。たく、お前の体は俺のもん憶えてるってことか?」
「すごく似てると思った。本当に久瀬なんじゃないかって思うくらい。一度そう思っちゃったら止まらなくて、久瀬がここにいるはずなんてないって必死で言い聞かせるのに、体が反応しちゃってつらかった…」
可那子がそう言って俯くと、久瀬はもうひとつため息を吐き頭をがりっと掻いた。
「久瀬…?」
「シケたツラしてんじゃねえよ。お前が嫌ならもうあいつらには指一本触れさせねえ。つーかまあ、触れたくてもできねえだろうけどな」
不安そうに見つめてくる可那子の髪をぐしゃぐしゃと撫でながら、久瀬は喉の奥で笑う。
「どういう、こと?」
「勝負してたんだとよ、誰がお前に声出させるか、ってな。ガキ共がそんなこと話してたから、ひとくち乗せてもらったんだよ」
そう言って薄く笑う久瀬を見た可那子は、その時の男たちの心境を思うといい気味だと思う反面、少しだけ気の毒にも感じた。
「お前が誰かとヤってんのは分かってた。お前の反応が変わってすげえ違和感あったからな」
その時、久瀬がぼそっと言う。
「俺のモンでもねえし関係ねえと思ってたんだが、気に入りの形を変えられんのはやっぱ面白くねえ」
その言葉に驚き目を見開く可那子をよそに、久瀬はだから、と続ける。
「だからお前は、俺だけにヤられてろ」
次の瞬間、可那子は久瀬に抱きついていた。
「これからもずっと、久瀬のそばにいていいんだ…」
涙声で嬉しそうに言う可那子。
何度目かのため息を吐きいかれてやがるな、と小さくつぶやいた久瀬に、誰が?とは訊かなかった。
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