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渡瀬が深夜にかかってきた電話の後慌ただしく出かけて行ってから2日が経っていた。
その間連絡もないままだった渡瀬の使いでやって来た渡瀬組の組員に連れられて、渡瀬組事務所にやって来た可那子。
「親父、可那子さんが」
「…おう」
どこかばたばたと慌ただしい雰囲気の事務所、その組長室に足を踏み入れると、渡瀬は立ち上がりゆっくりと可那子に近付いた。
「勝さん…、あの、」
「…お前らはしばらく外しとき」
可那子を抱き寄せると同時に低く言うと、
「あの、勝さ…、っ、」
扉が閉まるのに合わせ、渡瀬はその体を強く抱きしめた。
いつもと違う渡瀬の様子にどうしていいか分からない可那子だったが、
「や…っ、こんなとこで、ダメ、です…っ」
抱きしめられたままスカートをたくし上げるために太ももに手を這わされた時、戸惑い焦った様子で抵抗を見せた。
しかし渡瀬は手の動きを止めない。
「勝さん…っ」
「…、可那子――…」
その時困った様子の可那子を更に強く抱きしめた渡瀬は、その耳もとでしぼり出すように呟いた。
「――…っ!」
今まで聞いたことのない渡瀬の苦しげで縋るような声は、可那子から抗う力を奪い取った。
可那子が抵抗をやめると、渡瀬はその体を反転させ執務用のデスクに手をつかせる。
そのままスカートをたくし上げられショーツを引き下ろされて、可那子はうそ、と小さく呟いた。
全く慣らされていない状態では、渡瀬のものを受け入れるのはかなりキツい。
しかし直後、熱の塊が可那子の中心に捩じ込まれた。
「あああぁ…っ!!」
瞬間、ここがどこだかなど考えることもできなくなった。
抑えることもできず、ただ苦痛から可那子は声を上げた。
優しさのかけらもなく、ただ一方的に出し挿れを繰り返すセックス。
柔らかな肉が無理やり巻き込まれ引き攣れて、苦しげな声と共にその瞳からは涙がこぼれ落ちた。
ただひとつ幸運だったかもしれないのは、いつもよりかなり早く渡瀬が果てたこと。
解放され崩折れそうになる可那子を抱き止め、渡瀬はソファに崩れ落ちた。
「すまん、すまん可那子…!勝手なんは分かっとる、分かっとるが…頼む、泣かんといてくれ…」
濡れた頬をなでながら渡瀬が自己嫌悪に満ちた声音で言うが、それに対し可那子は強く首を振った。
「違います、これは勝さんの涙です…何があったか訊きません、言わなくていいです。だからそんな声で、そんな顔で謝らないで…!」
言いながら渡瀬に向き直り、抱きしめるようにその首もとに抱きつく。
「全部受け止めますから、つらい時はもっと吐き出してください…勝さんだって人間なんですよ…?いくら強くても、耐えられないことだってあるはずなんですから…」
そう言って泣きじゃくる可那子を、渡瀬も強く抱きしめ返した。
「ほんまに、すまんかった…」
***
可那子を膝の上に乗せたまま、渡瀬は話した。
腹心の部下だった若頭を失ったこと、
他の組の人間の仕業なら報復のための戦争もできたが、彼は自ら命を絶ったこと、
やり場のない悔しさと悲しみ、そして理由が分からない、分かってやれなかった自分への怒りでおかしくなりそうだったこと…
「どうしたらええのか分からんようになってしもて…ただお前が生きとることを、確かめたかったんや…」
いつでも自信に満ちあふれているいつもの渡瀬はなりを潜めていた。
苦しげに言う渡瀬を、可那子は再び強く抱きしめた。
受け入れがたい死に直面した時、いつも以上に生を欲してしまうものだとどこかで聞いたことがある。
やり方が多少乱暴だったことは、渡瀬の心を思えば責めることなどできるはずもなかった。
その時遠慮がちなノックが響き、少しの間の後静かに扉が開かれた。
「親父、そろそろ本部に向かわねえと…」
「…おう」
言いながら会釈をよこす組員に、可那子も軽くそれを返す。
そして組員の手に抱えられたおそらく渡瀬のための黒い上着は見なかったことにして、可那子を抱きしめたまままだ動けずにいる渡瀬に向き合った。
「今日は…部屋に戻れそうですか…?」
「遅くなるが、おそらく…」
「それは構いません。じゃあ、待ってますね」
にこりと笑い自ら渡瀬の膝を降りると、渡瀬も観念したように立ち上がり、部屋を出て行った。
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