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夢小説設定
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開け放たれたままの病室のドアを軽くノックすると、
「ユウヤ…!来てくれたんだ」
ぼんやりと天井を見上げていた可那子がその姿をみとめ、ぱっと顔をほころばせた。
「まだ起きんな」
「平気。もう大丈夫だから」
心配そうに言うユウヤに笑って見せながら、体を起こす。
「ありがと、ごめんね…って、ユウヤ?」
すると、可那子の体を支える手に力を込め、ユウヤは可那子を抱きしめた。
「ごめん…!気付いてやれなくて、ほんとにごめんな…!」
苦しげに言いながら髪をなでるユウヤの言葉が何のことを指しているのかは、可那子にもすぐに分かった。
「あたしも、言えなくてごめん…、ユウヤが望んでないかもって思ったら、こわかった…」
だから可那子も、ずっと抱いていた不安を口にした。
しかし返されたユウヤの言葉は、可那子の不安をあっけなく取り除くのに十分な力を持っていた。
「馬鹿だな、そんなはずないだろ!お前が望まなくても、頼むから産んでくれって言うよ!」
「ユウヤ…」
初めて逢った時から変わらないユウヤのあたたかさに、涙が出そうになる。
「もっと早く言えばよかったな」
するとユウヤはそう言いながら可那子を離し、ポケットから小さなケースを取り出す。
「また順番逆になっちまったけど、許してくれな」
それをそっと可那子に手渡し視線で促すと、可那子は遠慮がちにケースを開けた。
「ユウヤ、これって…」
驚いた様子で顔を上げた可那子にユウヤは真剣な瞳を向け、言葉を紡いだ。
「結婚しよう、可那子」
それに対し可那子は、少し不安げに小さく訊き返す。
「あたしで…いいの?」
「それ、最初ん時も訊いてたな。まぁ何度でも答えてやるけど…」
言いながら優しく笑ったユウヤは、
「お前じゃなきゃ、だめだ」
最初の時と変わらない言葉を、あの時よりも強くなった想いを込めて返した。
「可那子、返事は…?」
「…よろしく、お願いします…」
訊きながら答えながら、ふたりの距離はゆっくりとゼロになる。
それはまるで誓いのキスのように、ふたりの唇は、静かに重なった。