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優しい笑顔で迎えてくれた一輝さんは、お祝いにと持って行ったシャンパンをすごく喜んでくれた。
でもその後とても恐縮して
「だって俺は本当に、可那子ちゃんが来てくれただけで嬉しいんだから」
そんな言葉をくれるのが一輝さんらしくて、なんだか私も嬉しくなった。
そのシャンパンで乾杯した後は、一輝さんお勧めの映画を観た。
「やっぱり可那子ちゃんは泣き虫だね」
素敵な恋愛もののストーリーに泣いてしまった私の涙を、そう言いながら拭ってくれる一輝さん。
「中盤くらいから泣いてたよね」
なんて言われて、ずっと見られてたのかなって思ったらすごく恥ずかしかった。
そしてふと考える。
私、一輝さんの前で…そんなに何回も泣いたかな…?
けれどその答えが出る前に、
「泣いたらお腹すいたでしょ」
っていたずらっぽく笑って、夕食の用意までしてくれる一輝さん。
一輝さんのお祝いなんだからと言っても手伝わせてもらえず、
「言ったでしょ、来てくれただけで嬉しいって。俺がしたいことをしてるだけなんだから、気にしないで」
そんな風に言われてしまう。
本当の恋人同士のように過ごす幸せな時間。
おとなしくソファに座ったまま、私はぼんやりと思う。
少し前までは、一輝さんに思い出をもらったんだからもう好きでいちゃいけないと思ってすごく苦しかった。
だけどやっぱり気持ちを抑えるなんて無理だって気付いたから、あと少し、残された時間を楽しんでしまおうって。
でも、お店にはこれからももう行かない。
逢うのもこれで最後でいい。
一輝さんを好きでいる自分を赦してあげようと思っただけだから。
つらくても苦しくても、その方がいいと思ったから。
食後はコーヒーを飲みながらゆったりとした時間を過ごした。
そして名残惜しくはあったけれど、その後私はそれを切り出した。
「すっかり長居してしまいました。私、そろそろ帰りますね」
すると一輝さんは、カップをキッチンに運ぼうとした私にぽつりと言った。
「見てほしい所があるんだけど」
一輝さんに言われ連れて行かれたのは、一輝さんの寝室だった。
より強く感じる一輝さんの匂いに、目眩がする。
もちろん、何も期待しなかったと言えば嘘になる。
けれどやっぱり、それでも浮かぶ疑問。
「…どうして、ここに?――…っ一輝、さ…」
けれど私は、振り返るより先に後ろから抱きしめられていた。
同時に耳に届いた言葉に、体がびくりと震える。
「これからここで…君を抱くから」
「…っ!」
もう一度振り返ろうとしたけれど、強く抱きしめられたままでは身動きがとれない。
一輝さんは静かに続けた。
「返事は訊かない。力ずくで抱きたくないから、お願い…抵抗、しないで?」
そのまま抱き上げられて、本当にこれは冗談じゃないんだと思った。
一輝さんの本気を知ったら、涙が溢れた。
一輝さんが――…こわくて。
ベッドに組み敷かれた時、泣いてる私を見て一輝さんは一瞬つらそうな表情をのぞかせたけど、
「…ごめんね。泣いても…、やめない」
その後そう言った一輝さんは、すでに男の人の顔になっていた。
こわい。一輝さんがこわい。
こんな一輝さん、知らない――…!
…そう思うのに、涙だって全然止まらないのに、
「あぁっ!!」
深く深く口づけられながら服を脱がされそこに愛撫を加えられて、そんな想いとは裏腹に私の体はどんどん熱を持っていく。
胸の先端を弾かれて上げてしまった声を抑える間もなく、一輝さんの指で舌で昂められていった。
「や…っ、いやです一輝さ、あ、…っ!」
「知ってる。ここ、気持ちいいんだよね」
「やだ、あ、ああぁ…っ!!」
一輝さんが見つけた私のいい所を以前と同じように執拗に攻められ、私はあっけなくイかされてしまう。
それでも一輝さんはその手を緩めてくれなくて、その後も私は何度もイかされた。
そして――…
「…や、今はだめ、お願、一輝さん…っ」
脚を割られた私は、一輝さんに懇願していた。
だって、今挿れられたら私…、
「や…っ!ああぁ――…っ!!」
…何も、考えられなくなってしまう――…!
突き込まれた最奥が、じんじんと熱い。
びくびくと跳ねる体を見下ろして、一輝さんはふふっと笑う。
「やっぱり、挿れるだけでイっちゃうんだ…相変わらずえっちな体だね」
「――…っ!!そういうこと、言わないでください…っ!」
一輝さんだって、相変わらず意地悪だ…!
恥ずかしくて、止まりかけていた涙がまたこぼれそうになる。
「…あれから、誰かに触らせた?」
けれど不意にそう訊かれて、私はふるふると首を振った。
だって一輝さん以外に抱かれたい人なんていない。
一輝さんを忘れるために新しい恋を…なんて、そういえば考えたこともなかった。
「俺はね、可那子ちゃん…嘘とか冗談で、愛してるなんて言えないよ?」
その時、一輝さんが静かに言った。
「一輝、さ…?」
すぐに何のことか気付けなくて戸惑う私をよそに、一輝さんは続ける。
「――愛してるんだ、君を。どうしようもなく、もうずっと…」
…その言葉に、すごく驚いている自分がいた。
一輝さんはホストなんだから、と必死で自分に言い聞かせていたからかもしれない。
だけど違ってたんだ。
あれは本心だったんだ。
一輝さんは…ひとりの男の人として接してくれていたんだ…。
と、考えられたのはそこまでだった。
「ごめん、つらいかもしれないけど…動くね」
切なげに瞳を揺らした一輝さんが、そう言って抜き挿しを始めた。
初めはゆっくりだったその動きが少しずつ速く強くなって、それに合わせて私の体もどんどん昂められていく。
「や、ああ一輝さ、あぁん…っ!」
「もっと啼いて…、もっと…俺を感じて、可那子ちゃん――…」
どうにかなってしまいそうなほどに突き込まれ、最奥を抉られる。
一輝さんは苦しいくらいに私を抱きしめて、絞り出すように言葉を発した。
「愛してる、愛してる――…、可那子…!」
「――…!」
瞬間、色んな感情が混ざり合って、涙と一緒に溢れ出した。
愛してるという気持ち、嬉しいという気持ち、それに比例するように強くなる快感…。
だけど、その後見せてくれた一輝さんの顔はとても苦しそうで。
「どう、して…」
頬に触れたくて手を伸ばしたら、
「っあ、ああ!や、あぁ、一輝さ…っ」
それを絡め取られ貼り付けられて、更に激しく突き込まれた。
――だから…ね、可那子ちゃん…
同時に、一輝さんが小さく呟く。
だけど私は絶えず与えられる刺激に翻弄されて、答えることができない。
もう、限界だったから。
「一輝さ…、一輝さん…っ――や、ああぁ…っ!」
シーツに貼り付けられたまま、私の体はびくんと跳ねた。
飛びそうな意識をかろうじて保つ私の耳に届いた言葉の意味を理解するのに、少しの時間が必要だった。
――俺を…、嫌いになって――…