明日も一緒に
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「うそ!ほんとにいいの?俺なんかが一緒で?」
そう言いながら嬉しそうにチケットを眺める品田。
秋山の言った通りの反応を示す品田の様子に可那子はほっと息を吐き、その後申し訳なさそうに続ける。
「はい、それはもちろんなんですけど…あの、私全然野球を知らないので、色々と教えていただいてもいいですか…?」
そう訊かれた品田は、胸をドンと叩き二つ返事で快諾した。
「あーそれなら任せて!なんでも聞いてね!」
***
試合は名古屋ワイバーンズの勝利で終わり、品田は上機嫌。
内野席で観戦していたふたりだったが、球場の盛り上がり、加えてヒットや得点時の大歓声など何もかもが初めての体験で可那子のテンションも上がっていた。
しかし試合後の球場周辺の人の波も当然初体験で、その雰囲気にたじろいでしまう。
「…俺のここ、ちゃんと握ってて。離しちゃダメだよ」
すると品田は可那子の手を取り、自分の服の裾を握らせた。
「そしたら足もとだけ気を付けてついてきてね」
「は、はい…」
そこを引かれる強さで歩く速度を調整しながら歩を進めた品田は、人混みのばらける大きな交差点で足を止めた。
「大丈夫だった?」
「はい、ありがとうございました」
「あ、でもはぐれたら困るから今度は手こっちね」
「…っ、」
驚いて、でも何も言えないまま可那子は品田に握られた手を握り返した。
そしてはじめに待ち合わせた場所までふたりは戻って来た。
「今日はありがとうございました。すごく楽しかったです」
本当はまた、と言いたかった。
でも勇気が出なくて、次の約束を切り出せない。
「……」
その時可那子は、何か言いたげな品田に気付く。
「品田さん?」
「ね、可那子ちゃん明日も来ない?」
「え?」
そう言った品田が差し出したのは、野球のチケットだった。
日付は明日。
「これって…」
「実はね、俺も誘おうと思ってたんだ。言い出せないうちに先越されちゃったし、おまけに席も今日みたいないい席じゃないんだけど…どう、かな?」
直後、可那子の顔にぱっと笑みが広がる。
「嬉しい、です…!」
その笑顔に、品田もまた嬉しそうに笑うのだった。
→おまけ。