明日も一緒に
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「ねぇ、良かったらこれ行かない?」
そう言って同僚が差し出したのは、チケットだった。
「あ、野球の…?」
それが野球のチケットだと分かった瞬間頭に浮かんだ人物のお陰で、可那子の顔は我知らず緩んでしまう。
「うん用事できちゃって、他もみんな都合悪くてさ。でも無駄にするのもったいないし…」
同僚はそう言いながらも可那子のそれを見逃さず、にやりと笑いながら訊いてきた。
「おやおや?野球と聞いて誰かいい人を思い浮かべたかな?」
「ちが、そんなんじゃ…っ」
焦って答える可那子だったが、同僚は皆まで言うなと可那子を制し楽しげに言いながらその手にチケットを握らせた。
「野球好きな人とか誘ってさ、一緒に行くといいよ。うまくいったら、なんかおごってね」
***
野球と聞いて、可那子の頭に浮かんだのはひとりだけ。
名前は品田辰雄。
先日スカイファイナンスで花とお喋りをしている時に秋山の所へやってきた、一見ぱっとしない男。
でも話してみると楽しくて、もとプロ野球選手だということもその中で聞いていた。
気さくで人当たりが良く、こと野球の話に関しては少年のように瞳をキラキラさせる品田を好きになるのに、時間はあまりかからなかった。
可那子はいつからか、どうしても彼が欲しいと思うようになっていた。
しかしいざ誘おうと思った時、可那子はふと思いとどまった。
チケットは東京ギガンツ対名古屋ワイバーンズ。
品田はその名古屋ワイバーンズの選手だった。
それだけなら問題はなかったのだが、同時に思い出すのは話に聞いた野球賭博事件。
品田はそれの関与を疑われて、野球界を永久追放されてしまった人なのだ。
もちろん今はもう既に、その疑いは晴れているのだけど。
「どう思いますか?秋山さん…」
それでもどうしようかと迷った可那子は、秋山に相談することにした。
そしてスカイファイナンスのソファで真剣に訊ねる可那子に、秋山は笑顔で答えた。
「それは気にしなくていいと思うな。結局なんだかんだ言っても彼は野球大好きだからさ。絶対喜んでくれるよ!大丈夫、自信持って!」
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