三島一八⑤
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バレンタインの後も相変わらず一八さんは忙しそうにしていて、部屋を空けることも多かったし戻っても深夜のことがほとんどだった。
そんな中仕事がようやく落ち着いたのか、9日に戻った一八さんは10日の朝も私の隣で眠っていた。
「今日はお仕事大丈夫なんですか?」
「ああ、一応の目処は…」
目覚めた一八さんに抱き寄せられながら訊いた私に一八さんが答えてくれた時、だった。
テーブルに放り出してあった携帯が無遠慮に震える。
小さく舌打ちして私を離しベッドから下りた一八さんは、不機嫌そうになにやら話した後また出かけて行ってしまった。
その後一八さんが戻ったのは、13日の朝だった。
「出かけるぞ、来い」
「え!?ちょ、一八さ…っ」
顔を合わせるなり腕を掴まれ、私は引きずられるように部屋から連れ出されようとしていた。
前にもこんなことがあったような気がする…!
そんなことを考えていたら、ふと立ち止まった一八さんは胸ポケットから何かを取り出しソファに放り投げた。
今のって、もしかして…
なんて思ってる間にドアは閉められ、気付いた時にはヘリの中だった。
「あの、どこへ…?」
「お前が決めろ」
「え?それってどういう…」
思ってもいなかった答えに訊き返したら、一八さんがまっすぐ私を見た。
「欲しいものもさみしいということも、言えと言っても言わんからな、お前は」
そう言って私の頬に触れる。
「…っ、一八さ…?」
「だから、お前に俺の時間を3日くれてやる。好きに使え」
一八さんの言葉を理解するのに、少しの時間が必要だった。
そうした後、私は確信する。
やはりさっきのは…
「あれ、携帯ですよね…」
「誰にも邪魔させるつもりはないからな」
「でも…」
すごく嬉しかった。
それは間違いなかったけれど、それでもまだ戸惑いの方が大きかった。
一八さんに無理をさせているような気がしてならなかったから。
「無理な時はそう言う。お前は何も気にせず俺のことだけ考えてろ」
けれど一八さんはそんな私の戸惑いを取り除いてくれるようにそう言ってくれた。
そしてそのまま抱き寄せられる。
「一八、さ…」
一八さんの優しさが嬉しかった。
ぬくもりが、嬉しかった。
きっとそれでも、困る人はいるはず。
でも…、ごめんなさい――…
私は心の中で小さく謝って――…一八さんの体に、腕を回した…。
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