堂島大吾④
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「『花贈り』っていうの。男性から女性に贈っても、ちっともおかしくないんだよ」
バレンタインに告白したことに気付いて恥ずかしがる大吾に、私はそう教えた。
そのことを知っているのかと思っていたんだけど、実は特に日にちにこだわりはなかったみたい。
告白しようと決めたあの日がたまたまバレンタインだった、ただそれだけだったんだと後で知った。
「でもさ、大吾は整った顔立ちしてるんだしもてるでしょ?学校でチョコレートとか貰わないの?」
なんで私なのかなんて、私には分からない。
そんなことじゃなくただ単純な興味でそう訊いたら、大吾はどこか哀しげに、でもどこかあきらめたような複雑な表情を浮かべて小さく笑った。
その時に見せた、少し大人びた瞳。
それを見た瞬間大吾の育った環境を思い出して、不用意なことを訊いてしまったと後悔した。
とっさにごめんと謝る私に、けれど大吾は何が?なんて笑って訊き返してくる。
4つも年下の子に気を遣わせてしまったことも合わせて、私は自己嫌悪に陥った。
だから私は、ホワイトデーに大吾にプレゼントを贈った。
男としてのプライドがあるのか、逆じゃん、なんて少し拗ねたように言う大吾に笑ってみせる。
「2月14日は、大吾が私に花を贈ってくれる日。3月14日は、私がお返しをする日。バレンタインとか関係なく…ふたりだけの内緒の記念日、なんてどうかな」
罪滅ぼしに、とかずるいこと考えなかったといえば嘘になる。
でも私の言葉に大吾がものすごく嬉しそうに笑ってくれたから、なんかもうごちゃごちゃ考えるのはやめにした。
今はまだ可愛い弟みたいな感覚なのかもしれない。
だけどそれでもなんだか大吾がとても愛しくて、私はその体をきゅっと抱きしめた。
「何すんだよ、離せ…っ!」
やっぱり男としてのプライドのためか、恥ずかしそうにじたばたする大吾。
「いいじゃん、抱きしめさせてよ」
だけど私は大吾を離さない。
「私が大吾を抱きしめられるのなんて今だけなんだからさ。身長だってあっという間に抜いてっちゃうんでしょ?」
すると私の言葉の意味を考えようとして、大吾の動きが止まる。
それは、『いつかは大吾が私を抱きしめてね』っていう小さなお願いのつもりだった。
大吾にはまだ難しいかな?なんて思ってたんだけど、
「俺、早くでかくなる…!」
言いながら私の体に回される腕が頼もしく感じられて、とても心地よかった。
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