05:愛しいと気づいた
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「いらっしゃいませ!」
店のドアを開け、その声が聞こえるとほっとする。
いつでも満面の笑みで迎えてくれる可那子。
その笑顔は極道なんてやってる俺には眩しすぎる代物だが、だからこそそれは俺を魅了してやまない。
この笑顔を曇らせたくないと、自分の立ち位置も弁えず考えてしまう。
しかし可那子は俺が極道だと知っても態度を変えたりはしなかった。
それどころか俺の話すことをいつでも興味深げに聞いてくれて、そんなことが素直に嬉しいと思えた。
その後俺の指定席を覚えてからは、嬉しそうにそしてどこか誇らしげにそこに通してくれる可那子が可愛いと思った。
頼んだわけではないが、いつの間にかそこは俺のためのキープ席となったようだった。
「いつでも待ってますから!」
その言葉につられて、店に行く回数は増えたように思う。
――ああ、そうか。
そこで俺は気付く。
俺は、可那子の全てがただ愛しいのだと。
声も笑顔も仕草も、いや全てを――…俺だけのものにしたいと思ってしまうほどに。
目が離せない妹のような存在だった可那子は、俺の中でいつの間にか、こんなにも女になっていたのかと。
「可那子、」
「はい!おかわりですか?」
名を呼べば、やはり返される笑み。
いや、と首を振ってから俺は切り出した。
「店終わった後、時間あるか?」
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