04:この時が続いてほしいと願った
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「今日はもう終わりか?」
店に行った時、ちょうど可那子がCLOSEDの看板を出しに表に出て来た。
「堂島さん!」
ぱっと笑顔になった可那子は手に持っていた看板を脇に抱え、大丈夫ですよどうぞと俺を中に入れてくれた。
しかし店内にはマスターの姿がない。
理由を聞くと、旧友に突然呼び出されて行ってしまったこと、可那子がひとりになってしまうため、平日だし客が来ないようなら早めに店を閉めてもいいと言われたことを話してくれた。
話してる間にも客が来る気配はなく、可那子は少し遠慮がちに言う。
「もうお店閉めて、あたしも少し呑んでいいですか?」
「ああ、座れよ」
隣の席を指すと可那子は嬉しそうにCLOSEDの看板を出し、俺の横に座った。
呑みながら話したのは本当に他愛もないことばかりで、それがこんなに楽しいものだと感じたのは初めてかもしれない。
「そうだ、堂島さんダーツってしますか?」
ふと可那子が言う。
「たまにはな」
「じゃあ勝負しませんか?今夜の呑み代を賭けて」
「いいな。だがいつものように手加減とか必要ないからな」
「あらら、バレてたんですか」
困ったように笑った可那子との勝負は、俺の勝ちだった。
だからと言ってもちろん可那子に払わせたりはしないが、代わりに次に来た時1杯だけ奢ってもらう約束をした。
それからも話は尽きないが、時間はあっという間に過ぎていく。
この時がいつまでも続いてほしいと、俺はただそれだけを願った。
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