19:試したくなって
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「どこへ行くつもりだ」
言葉と共に、強い力で腕を掴まれる。
弾かれたように振り返った可那子は、声で分かる幼なじみの姿に僅かに緊張した表情を浮かべた。
「来い」
「え!?って、大吾…っ、ちょ、待ってどこに…っ」
その腕をぐいと引かれ、有無を言わさずその場から引きずられるように離される。
神室西校の生徒がよくたむろする繁華街にほど近いホテル街。
その一角に一緒にいた男を置いたまま可那子は、小さな倉庫に連れて来られていた。
そこは堂島組の管理している倉庫で、幼い頃から大吾や仲間たちと入り込んで遊んでは叱られていた場所だった。
「あんなとこ見られたら、停学じゃすまねえぞ」
「大吾だって同じ場所にいたじゃん」
ようやく離してもらえた腕をさすりながら可那子が気に入らなそうに言うと、大吾は呆れたように返す。
「お前を見かけたから、追いかけたんだよ」
「なんで…大吾には、関係ないじゃん…」
大吾から目を逸らした可那子が、どこか拗ねたような声音で小さく呟く。
「…なくねえ」
その時、大吾も口の中で何か呟いた。
「…え?」
「関係なくねえ!!」
そして訊き返した可那子を力ずくで抱き寄せ、その唇を自らのそれで無理やり塞いだ。
「ん…っ、ふ、ん…っ、ん、ぅ…っ」
口内で暴れる舌に翻弄され、苦しげに声を漏らす可那子。
大吾の腕から逃げ出すこともできず、ただそれを受け入れることしかできなかった。
そしてようやくその激しい口づけから解放された可那子は、そのまま大吾の胸に抱きしめられていた。
「わり…、でも、分かってんだろ…?」
先ほどまでの激しさはどこへやら、自己嫌悪に陥った様子で大吾が言うと、
「分かんないよ…。言ってくれなきゃ、分かんない…」
泣き出しそうな声で可那子が答える。
「もしかして、って思ったりもしたけど…やっぱり不安で。…だから、協力してもらったの…」
そこで可那子の行動の意味を理解した大吾に、可那子は申し訳なさそうに言う。
「試すようなことして、ごめん…」
大吾は可那子を抱きしめる腕に力を込め、そして小さく言う。
「――…好きだ」
「あたしも、大吾が好き…」
可那子が小さくそれに答えた時、大吾は腕を緩め、身を屈めた。
今度は優しく重ねられる唇。
挿し込まれる舌に拙いながらも応えていた可那子の体が、びくりと震えた。
「や、待…っ、大、吾…っ」
可那子の服に滑り込んだ大吾の手が、そのふくらみを包み込んでいた。
戸惑いを露わに、唇を離し可那子は大吾の胸を押す。
しかし、もう片方の手で可那子の腰を抱き首もとに顔を埋めた大吾は苦しげに呟いた。
「止まんねえ、…抱きてえ、可那子…!」
「――…っ」
可那子にとって大吾は、ずっと恋焦がれていた大好きな幼なじみ。
僅かな抵抗はすぐに影を潜めた。
「優しく、してね…?」
可那子はそう言って、大吾をそっと抱きしめた。
試したくなって
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