16:慰めたくて
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「センパイに勝利をプレゼントするから」
そう言って臨んだ、高校2年最後の試合。
結果は惜敗。
最後の最後まで誰も諦めなかったけれど、それでもあと一歩及ばなかった。
反省会と3年生の最後の挨拶を終え、誰もいなくなった部室で品田はひとり、今日の敗因を考えていた。
「お疲れさま」
その時、後ろから声がかけられた。
同時にふわりと抱きしめられる。
「可那子センパイ…?」
声の主が誰かということは、考えなくてもすぐに分かる。
「いい試合だったよ。ありがとね、品田」
「でも負けちゃったし。約束したのに…ごめんなさい」
申し訳なさそうに言う品田に、しかし可那子は小さく首を振って答える。
「謝らないで。気持ち、じゅうぶん伝わったから」
「そう言ってもらえると、少し救われるかな」
そこでようやく品田も、少しだけ安堵の息を吐くことができたのだった。
「ところでさ、センパイ」
そして品田は続けざまに、先ほどからずっと気になっていたことを告げる。
「胸、当たってるよ?」
「…!」
思ってもいなかったことを言われた驚きと恥ずかしさで、可那子の腕に力が込められた。
「ちょ、チョークチョーク」
苦しそうに可那子の腕をぽんぽんと叩く品田。
しかしそのまま腕の力は緩んだけれどほどかれることはなく、品田は困ったように言う。
「あの、そろそろガマンできなくなっちゃいそうなんですけど」
その言葉に、可那子の腕がぴくりと反応する。
「慰めて…くれるんですか?」
その腕を掴み、品田は小さく訊いた。
「うん、…いいよ」
可那子の答えを聞いた品田は、その時ようやくほどかれた腕を掴んで引き寄せた。
重ねられた唇は、およそ高校生らしくない口づけとなり可那子を翻弄する。
品田の服の胸もとを握りしめ、可那子はそれに必死に応えた。
「俺、汗臭くない?」
ベンチの上に可那子の体を押し倒しながら品田が訊くが、
「野球部のマネージャーに訊くことじゃ、…っ」
答える間も止まらない品田の手に胸を揉まれ、可那子は最後まで続けられない。
「あー、でも…」
しかしそこで何かに気付いた品田は、可那子の上にがくりとのしかかる。
「品田…?」
可那子がその体をそっと抱きしめると、品田は悔しそうに言う。
「ごめん、俺ゴム持ってないや」
「大丈夫、私が持ってるから」
「え、なんで…」
直後の可那子の答えに驚いて顔を上げる品田に、可那子は少し恥ずかしそうに言う。
「期待の表れ、かな」
「、それってどういう…」
「いいから、…ね?」
訊き返す品田の声を遮り、可那子は品田をぐいと抱き寄せた。
「せんぱい…」
「慰めてあげるって言ったのは私なんだから…品田の好きにして、いいからね…?」
可那子の言葉に体を起こした品田は、
「そんなこと言ったら、ほんとにやめてあげられなくなっちゃうよ…?」
そう言って可那子の頬をそっとなでる。
そして、うん…と小さく頷く可那子に、静かに口づけを落とすのだった――。
慰めたくて
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