12:自覚なく誘われて
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「誕生日は何が欲しいですか?」
可那子の誕生日が近付いたある日のデートで、峯はそう切り出した。
「サプライズも考えたのですが、やはりあなたが本当に欲しいものをあげたいので」
「その日は一緒にいていただけますか?」
嬉しそうに顔をほころばせた可那子の問いに頷いて見せた峯は、
「もちろんです。たとえ大吾さんが拉致されようと、あなたのそばを離れませんよ」
そう言って笑う。
「えっ!でもあの、それは…っ」
途端に焦る可那子に、峯はもう一度笑って見せた。
「冗談ですよ。でもその時はちゃんと土下座してお詫びしますから」
「もう、峯さんたら…」
困ったように笑って見せながらも可那子は、めったに言わない峯の冗談に驚きつつそのやわらかな笑みに見とれてしまう。
「時間はもう少しありますから、答えはすぐじゃなくていいですよ。それとも何か思い当たりましたか?」
その時峯からそう言われ、可那子は慌てて気を取り直し答えを探した。
「そうですね、峯さんと一緒にいられるなら他には何もいらないんですけど…」
何気なく言いながら可那子が視線を巡らせると、峯の眉が僅かに動く。
それには気付かずしばらく考えた後可那子は、何か思いついたようにあ、と小さく声を出した。
「何かありましたか?」
「…、あの、」
促され、少し言いにくそうに言う可那子。
「日付が変わって一番に…おめでとうのキスが、欲しいです…」
「そんなものでいいのですか?」
意外そうな様子で訊く峯に、可那子ははにかみながら答える。
「はい、峯さんのキス…、大好きなので」
「――…っ」
峯の眉がもう一度僅かに動く。
しかしここでもやはり気付かなかった可那子は、もう一度あ、と小さく声をもらした。
「でも、まず峯さんに逢えないとキスもできませんから、やっぱり一緒にいられればそれでいいです」
「…っ、」
そんなことを言われもう一度はにかんだ笑顔をぶつけられた峯は、咄嗟に口もとを手で押さえ何かをこらえるように俯いた。
「どうかしたんですか?峯さん…」
そこでようやく、峯の様子がおかしいことに気付く可那子。
「可那子さんのそれは、誘っているのですか?それとも…俺を試しているのですか?」
「え?」
しかし頬に手を添えられそう訊かれても、きょとんとした表情で訊き返す。
「…本当に、分かっていないのですね…」
「え、あの、…っ!」
もう一度確かめ、可那子の返事を聞く前に峯は目の前の唇をふさいだ。
「…ぁ、や、峯さん…っ」
可那子が好きだと言ったキスを存分に与えてとろけさせながら、峯は可那子の服を器用に脱がし始める。
恥ずかしそうな可那子の僅かな抵抗など気にする風もなく、峯はそのまま可那子を抱いた。
そして腕の中のぬくもりを愛おしそうに抱きしめながら、小さく小さく呟くのだった。
「…無自覚というのは、本当に手に負えませんね…」
自覚なく誘われて
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