01:普段と違う状況に興奮して
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「きゃあっ!!」
可那子はとてつもない轟音に耳をふさぎ、その場にうずくまった。
そのまましばらくすると、窓を叩く雨音が微かに耳に戻ってくる。
そうしてからようやく耳と共に閉じていた瞳を開くが、目の前に広がるのは闇だけだった。
「やだ…っ」
目が見えなくなったのかとパニックを起こしそうになるが、
「大丈夫か、可那子!!」
「…っ、ユウヤぁ…」
耳に届いた声に安心して、今度は泣きそうになる。
「きゃあっ!」
近付くユウヤの気配に手を伸ばした瞬間、稲光が辺りを照らした。
同時に怯えて手を引っ込めた可那子を、しかしユウヤはしっかりと抱きしめていた。
「あーこりゃ時間かかりそうだな」
カーテンを開けてみると、太い電線でも切れたのだろう、辺り一面が暗闇だった。
「今夜中の復旧は無理かもな。しゃーない、少し早いけど今日はもう寝ちまうか」
ユウヤはそう言うと、自分のそばを離れない可那子を抱き上げた。
***
でもさ、とベッドにふたり横になりながらユウヤがどこか楽しげに言う。
「台風とか雷とか停電とか、非日常ってなんかワクワクしねえ?」
「えー…、しないよぅ…」
しかし雷が鳴るたび怯える可那子は、泣き出しそうな声で答えた。
「はは、可愛いな可那子は。ほらもっとこっち来いよ、くっついてれば安心だろ?」
そう言ってユウヤは可那子の体を抱き寄せる。
「うん、でも…」
「なに?」
「、なんでもない…」
この時可那子が言い淀んだことが何なのか、ユウヤには分かっていた。
なぜならユウヤも同じ気持だったから。
「なんかさ、目が見えねえと聴覚とか触覚とか敏感になるよな。だから、見えねえけど可那子がここにいるってすげえよく分かる」
思っていて、けれど恥ずかしくて口にできなかったことをそのまま言われて可那子は戸惑う。
しかし同時に、ユウヤも同じことを感じていてくれたことに安心もした。
「…どうした?」
可那子は手探りでユウヤの唇に触れた。
そして恥ずかしそうに問う。
「キス、していい?」
「な、やっぱ興奮するだろ?」
それを聞いて嬉しそうに言うユウヤに小さくばか、と答え、可那子は自分の指先が触れる場所めがけて唇を寄せた。
いつもと同じキスのはずなのにどこか違う気がするのは、やっぱりいつもとは違う状況のせい?
そんなことを考えられたのもほんの少しの間。
見えないけれどよく視える目の前のユウヤと触れ合うだけで、体はどんどん熱くなっていく。
雷の音も、もう気にならなかった。
普段と違う状況に興奮して
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