05.
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あっという間に時間は過ぎ去り、気づかないうちに夜が明けていたようだった。
自然と目を覚ました私は、まだぼんやりする頭をそのままに、うとうととしていた。
どうして自然に目が覚めたんだろう。
特別なことがない限り、目は覚めないのに。
今日、何かあったっけ。
いつも通り、寝起きはしばらくの間頭が働かない。
身体を起こしたままうつらうつらしていると、控えめにだがしっかりと、扉がノックされた。
「アリス、ルシウスだよ。
起きているかい?」
ノックに次いで聞こえてきたのはいつものあの声。
だけど今日は、何となく緊張しているように聞こえた。
まだ何も考えられない頭を傾げながら、扉の向こうにいるのはルシウスだということだけ感じていた。
ベッドを降りようと裸足の足を外に出す。
ひんやりした床の硬さが直接足を刺激した。
それでも私の頭はまだ覚めないらしく、横にあるスリッパを気にもとめずに裸足のまま歩き出した。
目をこすりながら、思わず出てきたあくびを噛み殺す。
こんな朝早くに、どうしたんだろう。
ゆっくりとドアノブを回し、扉を開いた。
「…ん、ルシウス…?」
かすれる声で呼びかければ、目の前にいるルシウスは固い表情をふっと緩めた。
私はまだ片目をこすりながら、あくびしてじんわりと潤んだ目を向けた。
ルシウスは表情が緩んだ、と言ってもまだ青白い顔色をしていた。
「あぁ、よかった…起きていたんだね。」
「…?」
どうしてそんなにも、ほっとしているんだろう。
ルシウスの様子に、私は首を傾げることしかできなかった。
そんな私を見て、ルシウスは思わず固まる。
先程緩んだ表情も、一瞬で凍りつく。
しかしそれをよく見ていなかった私は、まだ首を傾げたままでいた。
「アリス…今日の朝、何があるか覚えているかい…?」
無理に動揺を隠しているかのような声が上からかけられた。
私は無意識にルシウスの顔を仰ぎ見る。
"今日の朝、何があるか"?
ぱっと答えを導き出せないまま私はルシウスから目を離した。
何気なくルシウスに視線を戻せば、ルシウスと目が合った。
その瞬間、私の身体に雷が落ちたかのような衝撃を感じた。
昨日の"彼"との会話を思い出し、思わず絶叫しそうになる口を必死にふさいだ。
どうしよう、すっかり忘れてしまっていた。こんなに大切なことなのに。
ほんの少し前…昨日あったことなのに。
一気に冷水を浴びたかのように跳ね上がり、慌てだした私を見て、ルシウスは肩の力を抜いた。
「思い出したみたいだね。」
「ル、ルシウス…私っ。」
「落ち着いて、アリス。まだ時間はあるよ。
今は何時だい?」
ルシウスは私の両肩に手をおいて、なだめるように言った。
私はルシウスに言われるがまま部屋にかけてある、静かに秒針をうっている時計を見た。
慌てているせいか少し読みとるのに時間はかかったけれど、何とか理解した。五時だ。
そんなにも早く起きていたのか、と感じてしまう。
それに今のルシウスの落ち着き様からして、こういう事態は最悪な予想の中にあったのだろう。
震える声をおさえながら、ゆっくりと深呼吸をした。
「今、は…5時。」
私がそう呟くと、ルシウスは返事のかわりに薄く微笑んだ。
その笑みを見て、私の肩にかかっていた余分な力がほっと抜ける。
ルシウスは私の頬に指を滑らせ、両頬をぎゅっと包んだ。
ひやりとした温度に、私の気分は更に落ち着いていく。
私の瞳をじっと見つめているルシウスは、私の意識がしっかりと覚醒しているのと焦っていないことを感じとる。
確認するように微笑んだルシウスに、私は微笑み返した。
「たぶん今から1時間後に我が君のところへ行けばいいと思うよ。
1時間で、大丈夫かい?」
今から、一時間…。
私は噛みしめるように口の中で呟いた。
足りるか足りないかで言ったら…きっと、十分だ。
今日までの生活で、大体何をすればいいかは把握している。
それに、急いで支度をするのには慣れている。
私は、今まで不安になっていたのはどこへ行ったのやら、強い調子で頷いた。
「ん…大丈夫ですよ。十分です。」
「そうか…それはよかった。」
優しく頷いたルシウスは、外で待っているよと言ってゆっくりと扉を閉めた。
ぱたん、と軽い音を立てて閉められた扉を見つめて、私はまた深呼吸をした。
大きく吸って、大きく吐く。
肺に空気が送り込まれるたびに、胸をふくらませることを繰り返す。
どくんどくんとゆっくり、しっかりした血の流れが自分で感じられた。
無意識につむっていた目をおもむろに開いていく。
今から、一時間。
私はもう一度、心の中で呟いた。
「よし…。
始めよっか。」
私はそう自分自身へ投げかけて、一歩前へ足を踏み出した。
扉の向こう側では、壁に寄りかかっているルシウスがその声を聞き、優しく笑っていた。
自然と目を覚ました私は、まだぼんやりする頭をそのままに、うとうととしていた。
どうして自然に目が覚めたんだろう。
特別なことがない限り、目は覚めないのに。
今日、何かあったっけ。
いつも通り、寝起きはしばらくの間頭が働かない。
身体を起こしたままうつらうつらしていると、控えめにだがしっかりと、扉がノックされた。
「アリス、ルシウスだよ。
起きているかい?」
ノックに次いで聞こえてきたのはいつものあの声。
だけど今日は、何となく緊張しているように聞こえた。
まだ何も考えられない頭を傾げながら、扉の向こうにいるのはルシウスだということだけ感じていた。
ベッドを降りようと裸足の足を外に出す。
ひんやりした床の硬さが直接足を刺激した。
それでも私の頭はまだ覚めないらしく、横にあるスリッパを気にもとめずに裸足のまま歩き出した。
目をこすりながら、思わず出てきたあくびを噛み殺す。
こんな朝早くに、どうしたんだろう。
ゆっくりとドアノブを回し、扉を開いた。
「…ん、ルシウス…?」
かすれる声で呼びかければ、目の前にいるルシウスは固い表情をふっと緩めた。
私はまだ片目をこすりながら、あくびしてじんわりと潤んだ目を向けた。
ルシウスは表情が緩んだ、と言ってもまだ青白い顔色をしていた。
「あぁ、よかった…起きていたんだね。」
「…?」
どうしてそんなにも、ほっとしているんだろう。
ルシウスの様子に、私は首を傾げることしかできなかった。
そんな私を見て、ルシウスは思わず固まる。
先程緩んだ表情も、一瞬で凍りつく。
しかしそれをよく見ていなかった私は、まだ首を傾げたままでいた。
「アリス…今日の朝、何があるか覚えているかい…?」
無理に動揺を隠しているかのような声が上からかけられた。
私は無意識にルシウスの顔を仰ぎ見る。
"今日の朝、何があるか"?
ぱっと答えを導き出せないまま私はルシウスから目を離した。
何気なくルシウスに視線を戻せば、ルシウスと目が合った。
その瞬間、私の身体に雷が落ちたかのような衝撃を感じた。
昨日の"彼"との会話を思い出し、思わず絶叫しそうになる口を必死にふさいだ。
どうしよう、すっかり忘れてしまっていた。こんなに大切なことなのに。
ほんの少し前…昨日あったことなのに。
一気に冷水を浴びたかのように跳ね上がり、慌てだした私を見て、ルシウスは肩の力を抜いた。
「思い出したみたいだね。」
「ル、ルシウス…私っ。」
「落ち着いて、アリス。まだ時間はあるよ。
今は何時だい?」
ルシウスは私の両肩に手をおいて、なだめるように言った。
私はルシウスに言われるがまま部屋にかけてある、静かに秒針をうっている時計を見た。
慌てているせいか少し読みとるのに時間はかかったけれど、何とか理解した。五時だ。
そんなにも早く起きていたのか、と感じてしまう。
それに今のルシウスの落ち着き様からして、こういう事態は最悪な予想の中にあったのだろう。
震える声をおさえながら、ゆっくりと深呼吸をした。
「今、は…5時。」
私がそう呟くと、ルシウスは返事のかわりに薄く微笑んだ。
その笑みを見て、私の肩にかかっていた余分な力がほっと抜ける。
ルシウスは私の頬に指を滑らせ、両頬をぎゅっと包んだ。
ひやりとした温度に、私の気分は更に落ち着いていく。
私の瞳をじっと見つめているルシウスは、私の意識がしっかりと覚醒しているのと焦っていないことを感じとる。
確認するように微笑んだルシウスに、私は微笑み返した。
「たぶん今から1時間後に我が君のところへ行けばいいと思うよ。
1時間で、大丈夫かい?」
今から、一時間…。
私は噛みしめるように口の中で呟いた。
足りるか足りないかで言ったら…きっと、十分だ。
今日までの生活で、大体何をすればいいかは把握している。
それに、急いで支度をするのには慣れている。
私は、今まで不安になっていたのはどこへ行ったのやら、強い調子で頷いた。
「ん…大丈夫ですよ。十分です。」
「そうか…それはよかった。」
優しく頷いたルシウスは、外で待っているよと言ってゆっくりと扉を閉めた。
ぱたん、と軽い音を立てて閉められた扉を見つめて、私はまた深呼吸をした。
大きく吸って、大きく吐く。
肺に空気が送り込まれるたびに、胸をふくらませることを繰り返す。
どくんどくんとゆっくり、しっかりした血の流れが自分で感じられた。
無意識につむっていた目をおもむろに開いていく。
今から、一時間。
私はもう一度、心の中で呟いた。
「よし…。
始めよっか。」
私はそう自分自身へ投げかけて、一歩前へ足を踏み出した。
扉の向こう側では、壁に寄りかかっているルシウスがその声を聞き、優しく笑っていた。
