11.
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ピリピリとした空気が周りを包んでいた。
口元に弧を描き、ニヤと笑っているのはジェームズとシリウス。
私の隣にいるセブルスは武装解除呪文で杖を奪われ、杖の方へ視線を走らせていた。
どうしてこんなことになっているのだろう。
呆然と私は立ち竦み、前にいる二人を見つめていた。
武装解除呪文を放ったシリウスは、セブルスの杖を取り上げたことに満足そうな様子だ。
シリウスの隣にいるジェームズは深い笑みを顔に刻んでいて、その手はいつでも杖が出せるようにローブの中にある。
その後ろには難しい顔をしたリーマスと、私の姿を見て戸惑っているピーターがいた。
私は目を見開き、夢中で考えていた。
どうにかしないと。
魔法使いにとって、杖を取られることは敗北を意味する。
杖がなければ対抗する魔法も言い返せない。
一方的な攻撃が始まるだけだ。
それだけは、避けないと。
私がそんなことを考えていると、杖を手の中で遊ばせているシリウスが嫌な笑みをうかべた。
「よう、どうしたスニベルス。杖がなきゃ何もできないのか?」
「ッ、」
「ハハッ!そんな怖い目で睨まないでくれよ!」
「お得意の闇の魔術で返してきたっていいんだぜ。
もっとも、返せたらだけどな!」
そう言うと、シリウスは顔にうかべた笑みをより深いものにした。
ジェームズはセブルスを見ておもむろに手をローブから出す。
その手には、しっかりと杖が握られていた。
そしてジェームズはシリウスと目を合わせ、二人はニッと笑った。
「インカーセラス !」
「っ、!」
ジェームズが得意げに、はっきりと呪文を口にした。
ジェームズの杖の先からはロープが放たれる。
そのロープはセブルスめがけて飛んできた。
いけない。止めないと。
私は反射的に足を踏み出し、ローブの中から杖を取りだした。
ロープが向かってくるのをしっかりと見据えながら、杖を振る。
無言呪文で盾の呪文を使うと、目の前には半透明な白いベールが現れた。
そのベールに当たったロープは弾かれたような音を立てて芝の上に落ちた。
この杖で魔法を使ったのは初めてだが、調子は上々なようだ。
私のすぐ後ろでは、セブルスが息を呑み、こちらを凝視しているのが痛いほどよくわかった。
私は杖を振った流れを利用してもう一度杖を振り、口を開く。
「エクスペリアームス 。」
「っな、!」
私の杖の先からは赤い閃光が放たれ、杖を持っている二方向へ向かった。
二人は不意を突かれたように息を呑み、その手からは杖が高々と飛び上がる。
ほんの一瞬の出来事に二人は──その後ろにいるリーマスとピーターでさえも──呆気に取られたかのように目を見開いていた。
そしてはっと我に返った二人がこちらを見て状況を把握すると、信じられなさそうに目を見開いた。
その二人の後ろで、飛び上がった二つの杖が芝の上に転がった。
「アリスっ!」
「…杖を取り上げられた相手に2人で杖を向けるのは、さすがに卑怯じゃないですか?」
息を呑んだ様子のジェームズに、私は静かに言葉を紡ぐ。
間違っていることを言ってはいないはずだ。
そういう目を向ければ、ジェームズははっと口を開いた。
「アリス、君は知らないんだよ!スニベルスは、」
「闇の魔術に没頭してる。そうですよね?」
「っ、じゃあ!」
「でも、こんなことは間違ってると思いますよ。」
彼らがセブルスを特に酷くするのは、彼らの嫌いな闇の魔術にセブルスがどっぷりと浸かっているから。
ジェームズの場合は、それに加えてリリーのこともあるのだろう。
リリーと幼馴染みのセブルス。リリーと仲が良く、セブルスよりも自分が優れていると主張しても、リリーはなぜかセブルスを庇う。
それが気に入らなくてしょうがないのだ、ジェームズは。
私はジェームズにおもむろに微笑んだ。
「ジェームズ、あなたはこんなことをしても得にはならないと、もう知っているでしょう。
近くしたい心を、遠くに置いていると同じなんですよ。」
「ッ!」
私がそう言うと、ジェームズは息を呑んだ。
丸く見開かれたジェームズの瞳。
その中では動揺がゆらゆらと揺らめいている。
そう。こんなことをしても、リリーはジェームズを見ることはない。
けれど、それはセブルスにも言えることだ。
正義感の強いリリー。闇の魔術を極め、その強さを示してもリリーは振り向かない。
私は小さく眉を寄せ、このもどかしい現状に息を吐いた。
すると同時に、前から大きく舌打ちが聞こえた。
ジェームズではない場所。その、隣だ。
ふと俯かせた顔を上げれば、不機嫌そうなシリウスがこちらを睨めつけていた。
「シリウス…。」
「説教はよせよ。」
静かに名前を呼べば、シリウスの冷たい声がぴしゃりと言った。
シリウスにとって、セブルスを庇っていることが気に入らないのだろう。
彼の家は完全な純血主義。闇に染まっているその家が気に入らず、そしてそれを思い出させるセブルスも気に入らないのだ。
そして、それを庇った私のことも。
私は困ったような微笑みをこぼし、シリウスへと口を開いた。
「説教…そうですね、説教かもしれません。
でもこれだけは伝えておきたいんです。
シリウス、好きか嫌いかをはっきりさせることはいいと思いますけど、嫌いなものに変に干渉すると自分の立場が危うくなりますよ。」
「ぁあ?」
「私からすると、今のあなたも"例のあの人"のしもべたち…死喰い人 たちとあまり変わらないように見えるんです。」
私がそう言うと、周りがはっと息を呑んだ。後ろにいる、セブルスさえも。
その眼差しはほとんどが驚愕と恐怖だろう。
シリウスは先ほどよりずっと鋭い目つきでこちらを睨み、低い声で凄んだ。
「何だと?」
「ほら、あなたもよく知っているでしょう。純血主義ですよ。
魔法の使えない非魔法族をマグルと称し、罵り、そして殺害する。
その理由は簡単ですよ。気に入らない。嫌いだから。
今のあなたと、さほど変わらないと思いますけどね。」
「…黙れ。」
私の言葉に、シリウスは憎々しげな瞳をこちらに向ける。
少し、言い過ぎてしまったのかもしれない。
周りから寄せられる戸惑いの視線に、私は心の中で呟いた。
けれど、言ったことを訂正するつもりはない。間違ったことを言ったつもりもない。
私は肺の中に残っている空気を全て吐き、しっかりと前を見つめた。
「よく考えておいてください。
私は、あなたがグリフィンドールに選ばれた理由がちゃんとあると思っていますから。」
私はそう言って身を翻し、セブルスの手を引いた。
セブルスは戸惑ったような目をこちらに向けてきたが、しっかりと足を踏み出した。
私はセブルスの手を掴んでいる反対の手で杖を出し、彼の杖が転がった方向へ杖先を向ける。
そして無言呪文で呼び寄せ呪文を使った。
セブルスの黒く艶のある杖はこちらに向かって飛んでくる。
それを上手く手で取りセブルスに渡すと、彼は小さくお礼を言ってきた。
私はそれに微笑みをこぼしながら、後ろで立ち竦んでいる四人の視線を感じていた。
口元に弧を描き、ニヤと笑っているのはジェームズとシリウス。
私の隣にいるセブルスは武装解除呪文で杖を奪われ、杖の方へ視線を走らせていた。
どうしてこんなことになっているのだろう。
呆然と私は立ち竦み、前にいる二人を見つめていた。
武装解除呪文を放ったシリウスは、セブルスの杖を取り上げたことに満足そうな様子だ。
シリウスの隣にいるジェームズは深い笑みを顔に刻んでいて、その手はいつでも杖が出せるようにローブの中にある。
その後ろには難しい顔をしたリーマスと、私の姿を見て戸惑っているピーターがいた。
私は目を見開き、夢中で考えていた。
どうにかしないと。
魔法使いにとって、杖を取られることは敗北を意味する。
杖がなければ対抗する魔法も言い返せない。
一方的な攻撃が始まるだけだ。
それだけは、避けないと。
私がそんなことを考えていると、杖を手の中で遊ばせているシリウスが嫌な笑みをうかべた。
「よう、どうしたスニベルス。杖がなきゃ何もできないのか?」
「ッ、」
「ハハッ!そんな怖い目で睨まないでくれよ!」
「お得意の闇の魔術で返してきたっていいんだぜ。
もっとも、返せたらだけどな!」
そう言うと、シリウスは顔にうかべた笑みをより深いものにした。
ジェームズはセブルスを見ておもむろに手をローブから出す。
その手には、しっかりと杖が握られていた。
そしてジェームズはシリウスと目を合わせ、二人はニッと笑った。
「
「っ、!」
ジェームズが得意げに、はっきりと呪文を口にした。
ジェームズの杖の先からはロープが放たれる。
そのロープはセブルスめがけて飛んできた。
いけない。止めないと。
私は反射的に足を踏み出し、ローブの中から杖を取りだした。
ロープが向かってくるのをしっかりと見据えながら、杖を振る。
無言呪文で盾の呪文を使うと、目の前には半透明な白いベールが現れた。
そのベールに当たったロープは弾かれたような音を立てて芝の上に落ちた。
この杖で魔法を使ったのは初めてだが、調子は上々なようだ。
私のすぐ後ろでは、セブルスが息を呑み、こちらを凝視しているのが痛いほどよくわかった。
私は杖を振った流れを利用してもう一度杖を振り、口を開く。
「
「っな、!」
私の杖の先からは赤い閃光が放たれ、杖を持っている二方向へ向かった。
二人は不意を突かれたように息を呑み、その手からは杖が高々と飛び上がる。
ほんの一瞬の出来事に二人は──その後ろにいるリーマスとピーターでさえも──呆気に取られたかのように目を見開いていた。
そしてはっと我に返った二人がこちらを見て状況を把握すると、信じられなさそうに目を見開いた。
その二人の後ろで、飛び上がった二つの杖が芝の上に転がった。
「アリスっ!」
「…杖を取り上げられた相手に2人で杖を向けるのは、さすがに卑怯じゃないですか?」
息を呑んだ様子のジェームズに、私は静かに言葉を紡ぐ。
間違っていることを言ってはいないはずだ。
そういう目を向ければ、ジェームズははっと口を開いた。
「アリス、君は知らないんだよ!スニベルスは、」
「闇の魔術に没頭してる。そうですよね?」
「っ、じゃあ!」
「でも、こんなことは間違ってると思いますよ。」
彼らがセブルスを特に酷くするのは、彼らの嫌いな闇の魔術にセブルスがどっぷりと浸かっているから。
ジェームズの場合は、それに加えてリリーのこともあるのだろう。
リリーと幼馴染みのセブルス。リリーと仲が良く、セブルスよりも自分が優れていると主張しても、リリーはなぜかセブルスを庇う。
それが気に入らなくてしょうがないのだ、ジェームズは。
私はジェームズにおもむろに微笑んだ。
「ジェームズ、あなたはこんなことをしても得にはならないと、もう知っているでしょう。
近くしたい心を、遠くに置いていると同じなんですよ。」
「ッ!」
私がそう言うと、ジェームズは息を呑んだ。
丸く見開かれたジェームズの瞳。
その中では動揺がゆらゆらと揺らめいている。
そう。こんなことをしても、リリーはジェームズを見ることはない。
けれど、それはセブルスにも言えることだ。
正義感の強いリリー。闇の魔術を極め、その強さを示してもリリーは振り向かない。
私は小さく眉を寄せ、このもどかしい現状に息を吐いた。
すると同時に、前から大きく舌打ちが聞こえた。
ジェームズではない場所。その、隣だ。
ふと俯かせた顔を上げれば、不機嫌そうなシリウスがこちらを睨めつけていた。
「シリウス…。」
「説教はよせよ。」
静かに名前を呼べば、シリウスの冷たい声がぴしゃりと言った。
シリウスにとって、セブルスを庇っていることが気に入らないのだろう。
彼の家は完全な純血主義。闇に染まっているその家が気に入らず、そしてそれを思い出させるセブルスも気に入らないのだ。
そして、それを庇った私のことも。
私は困ったような微笑みをこぼし、シリウスへと口を開いた。
「説教…そうですね、説教かもしれません。
でもこれだけは伝えておきたいんです。
シリウス、好きか嫌いかをはっきりさせることはいいと思いますけど、嫌いなものに変に干渉すると自分の立場が危うくなりますよ。」
「ぁあ?」
「私からすると、今のあなたも"例のあの人"のしもべたち…
私がそう言うと、周りがはっと息を呑んだ。後ろにいる、セブルスさえも。
その眼差しはほとんどが驚愕と恐怖だろう。
シリウスは先ほどよりずっと鋭い目つきでこちらを睨み、低い声で凄んだ。
「何だと?」
「ほら、あなたもよく知っているでしょう。純血主義ですよ。
魔法の使えない非魔法族をマグルと称し、罵り、そして殺害する。
その理由は簡単ですよ。気に入らない。嫌いだから。
今のあなたと、さほど変わらないと思いますけどね。」
「…黙れ。」
私の言葉に、シリウスは憎々しげな瞳をこちらに向ける。
少し、言い過ぎてしまったのかもしれない。
周りから寄せられる戸惑いの視線に、私は心の中で呟いた。
けれど、言ったことを訂正するつもりはない。間違ったことを言ったつもりもない。
私は肺の中に残っている空気を全て吐き、しっかりと前を見つめた。
「よく考えておいてください。
私は、あなたがグリフィンドールに選ばれた理由がちゃんとあると思っていますから。」
私はそう言って身を翻し、セブルスの手を引いた。
セブルスは戸惑ったような目をこちらに向けてきたが、しっかりと足を踏み出した。
私はセブルスの手を掴んでいる反対の手で杖を出し、彼の杖が転がった方向へ杖先を向ける。
そして無言呪文で呼び寄せ呪文を使った。
セブルスの黒く艶のある杖はこちらに向かって飛んでくる。
それを上手く手で取りセブルスに渡すと、彼は小さくお礼を言ってきた。
私はそれに微笑みをこぼしながら、後ろで立ち竦んでいる四人の視線を感じていた。
