秘密
ゾエさんと鋼くんには秘密がある。
お腹が空く三限目後の休憩時間、スマートフォンがメッセージを受信する。『今日の昼休み、空いてるか?』そのメッセージを見たゾエさんは、すぐに、『大丈夫だよ』と返す。今度は何が原因だろうか。
普段ものすごく寝付きの良い鋼くんは、ときどき眠れなくなるらしい。彼のサイドエフェクト的にも健康にも大変よろしくないその症状。
「ゾエ、悪い、ありがとう」
「いえいえ、全然大丈夫だよー」
昼休み、空き教室で待ち合わせ。
たまたま眠そうにしていた鋼くんに、寝不足? 何かあった? と聞いたのがきっかけで、鋼くんは眠れなくなるとゾエさんのそばにくる。
「ゾエにはつい話しちゃうな」と言い、周りに隠していたであろう原因をぽつぽつと話しているうちに、鋼くんは小さな寝息をたてて眠りにつくのだ。
ゾエさんは、そっかあ、とか、それは大変だね、とかそんな相槌しか打たない。でもそれが心地よいらしい。
今日も、鋼くんは真面目すぎるなあ、という悩みをぽつぽつと話した後、ゾエさんの肩に頭を寄せてすやすやと眠っている。
ゾエさんはそれに安堵しながら、鋼くんから貰ったいちご大福を楽しんでいると、またスマートフォンが震えた。
『鋼は大丈夫かよ』
「ふふ……カゲって面倒見良いよねえ」
そう、最初に秘密と言ったけど、それは鋼くんがそう思っているだけで、実は周りには結構バレている。それでも、みんなを心配させたくないと配慮する鋼くんのことを思って見守っているのだ。
なんだか同い年の男子相手に過保護だなあと思わなくもないけれど、普段と違ってあどけない寝顔の鋼くんを見ると、仕方ないよね、と思ってしまう。
さすがに鋼くんに悪いから写真は撮っていないけれど、みんなに見せたいくらいに、普段見せる寝顔とは全然違うのだ。疲れているからか、安心してるからか、その両方か。
こういうのも役得っていうのかなあ、なんて。
でも、願わくばいつかゾエさんのこの役目はいらなくなって、鋼くんがいつでも健やかに眠れる日々が来ればいいと思う。
お腹が空く三限目後の休憩時間、スマートフォンがメッセージを受信する。『今日の昼休み、空いてるか?』そのメッセージを見たゾエさんは、すぐに、『大丈夫だよ』と返す。今度は何が原因だろうか。
普段ものすごく寝付きの良い鋼くんは、ときどき眠れなくなるらしい。彼のサイドエフェクト的にも健康にも大変よろしくないその症状。
「ゾエ、悪い、ありがとう」
「いえいえ、全然大丈夫だよー」
昼休み、空き教室で待ち合わせ。
たまたま眠そうにしていた鋼くんに、寝不足? 何かあった? と聞いたのがきっかけで、鋼くんは眠れなくなるとゾエさんのそばにくる。
「ゾエにはつい話しちゃうな」と言い、周りに隠していたであろう原因をぽつぽつと話しているうちに、鋼くんは小さな寝息をたてて眠りにつくのだ。
ゾエさんは、そっかあ、とか、それは大変だね、とかそんな相槌しか打たない。でもそれが心地よいらしい。
今日も、鋼くんは真面目すぎるなあ、という悩みをぽつぽつと話した後、ゾエさんの肩に頭を寄せてすやすやと眠っている。
ゾエさんはそれに安堵しながら、鋼くんから貰ったいちご大福を楽しんでいると、またスマートフォンが震えた。
『鋼は大丈夫かよ』
「ふふ……カゲって面倒見良いよねえ」
そう、最初に秘密と言ったけど、それは鋼くんがそう思っているだけで、実は周りには結構バレている。それでも、みんなを心配させたくないと配慮する鋼くんのことを思って見守っているのだ。
なんだか同い年の男子相手に過保護だなあと思わなくもないけれど、普段と違ってあどけない寝顔の鋼くんを見ると、仕方ないよね、と思ってしまう。
さすがに鋼くんに悪いから写真は撮っていないけれど、みんなに見せたいくらいに、普段見せる寝顔とは全然違うのだ。疲れているからか、安心してるからか、その両方か。
こういうのも役得っていうのかなあ、なんて。
でも、願わくばいつかゾエさんのこの役目はいらなくなって、鋼くんがいつでも健やかに眠れる日々が来ればいいと思う。
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