晩秋の雑想
わたしは恋愛フレーバーだけで満足です
友人が恋をしている。
お相手は職場の同僚だ。一緒に仕事をするうちに、かけがえのない存在になったのだろう。
たまたま友人の意中の相手と面識がある。でも、彼女が熱を入れるほどの男なのかと疑問に思ってしまう。
彼の見た目はそのへんにいる普通のおっさんだし、性格も事なかれ主義で、いい加減なところがある。
美しい友人にはもっとふさわしい相手がいるのではないか?
しかし、日々の激務に耐えている友人の目には、意中の彼のゆるさが魅力的に映るのかもしれない。
人は自分にないものに惹かれる。
真面目で完璧主義な友人にとって、意中の彼との語らいは癒しのひと時なのだろう。
わたしはいま、恋をしていない。
これから異性を愛する可能性はゼロである。46歳のわたしにとって性愛など苦役でしかない。
ただし、恋愛フレーバーは大歓迎だ。
コーヒーが飲めないけれどもコーヒー味のゼリーやキャンディを好む人のように、ラブストーリーや恋バナに触れるのは歓びである。
友人の意中の相手は既婚者なので、彼女の想いが実ることはない。
でも、何気ない雑談のなかで、頻繁に彼の話題を出してしまう友人は、とても幸せそうだ。
心を傾ける相手がいるって素敵なことだなと思いつつも、ただ恋愛フレーバーを味わうのではなく、実際に恋に落ちるのは御免だと心をシャットダウンしてしまう自分がいる。
わたしにも何人か、いいなと思う異性がいる。でも、彼らの誰に対しても等しく注がれる優しさに触れるだけで充分だ。独占したいと願ったり、恋人の座に立候補しようとは思わない。
あいさつや軽い雑談を通して、ほんのりと「やっぱりこの人、素敵だなぁ」と恋愛フレーバーに浸るだけで満足だ。
今週、友人と会う約束をしている。
恋する彼女の瞳はきっと、どんな宝石よりも輝いていることだろう。
