きみの隣で、夜が明ける
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川辺に響く笑い声。
なまえは仲間たちと水をかけ合いながら、無邪気に笑っていた。
服の裾が濡れるのも気にせず、きらきらと水面を跳ねさせて。
「おらーっ!くらえ!」
啓介も負けじと応戦。
けれど──
「うわっ、ちょ、おま…!」
すかさず反撃を食らい、頭から水を浴びるはめに。
髪も服もびしょ濡れで、啓介は苦笑するしかない。
「ははっ!啓介、負けてんじゃん!」
「オレがやられたんじゃねぇ、これは作戦だっ!」
意味不明な言い訳に、仲間たちから容赦ないツッコミが飛ぶ。
けれどその空気すらも心地よくて、楽しい時間は続いていった。
そんな中、なまえが岩場を渡ろうとしたその瞬間。
「あっ──!」
石の表面で足を滑らせ、バランスを崩す。
ほんの一瞬の出来事だった。
──だけど、その一瞬で、啓介の手が伸びる。
助けようとするその反応は、驚くほど速くて。
けれど。
「って、うわっ!」
引き寄せた反動で、今度は啓介自身が足を滑らせ──
ふたりして、川に倒れ込んだ。
「そこは!かっこよく支えるとこだろー!」
岸から飛ぶツッコミに、水の中で笑いがこぼれる。
なまえがふと気づいたのは、啓介の腕だった。
水に濡れながらも、その腕が自分の腰をしっかりと抱えていること。
──あたたかい。
冷たい水に浸かっているはずなのに、その腕だけが、変に熱を帯びて感じられる。
「…お前助けようとした結果、オレまで巻き添えってどうなんだよ…」
「うるさいな、啓介が勝手に倒れてきただけでしょ!」
笑いながら、いつものように言い返す。
だけど、啓介の手は──ほんの数秒、たしかに離れなかった。
水の中。
なまえの胸の奥で、静かに何かが波打っていた。
(つづく)