ふたりで、未来を走る
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「…涼介くん、どうしたの?こんな夜に、呼び出して」
静かな湖畔。
夜の水面が月の光を映して揺れている。
「…なあ、なまえ」
「うん?」
「たとえばこの先、思い通りにならないことばかりでも、どれだけ時間が流れても──俺の中の“なまえ”だけは、ずっと、変わらないと思う」
「…涼介くん…?」
「いつも自分のことより誰かを優先して、無理して笑って。そんななまえが、俺はずっと、愛おしくてたまらなかった」
涼介の手が、そっとなまえの指に触れる。
「だから、きちんと言わせてほしい」
涼介は、そっとポケットに手を入れ、小さな箱を取り出した。
なまえの目が丸くなる。
「なまえ」
ぱちん、と開いたその中には、シンプルだけど丁寧に選ばれた指輪。
月明かりにきらめくそれを、涼介がそっと手に取った。
「お前の未来を、俺に預けてくれないか。どんな時も、お前の隣にいる。嬉しい時も、しんどい時も。ぜんぶ、いっしょに過ごしたい。──結婚しよう」
なまえは唇を震わせながら、しばらく言葉を出せなかった。
その瞳には、こらえきれない涙がにじんでいた。
「…うん、…うん…っ」
涼介は微笑んで、彼女の左手薬指に指輪をすっとはめた。
それは、まるでそこにあるべきだったかのように、ぴったりだった。
「ありがとう、涼介くん…。こんなに大切にされて、わたし…しあわせすぎる…」
「しあわせにするって決めてたんだ。ずっと、昔から。ただ言葉にするのが、遅くなっただけ」
ふたりは、そっと抱きしめ合った。
湖畔の風がやさしく吹き抜け、ふたりの影を重ねていく。
そして、その影が、永遠を約束するように寄り添っていた。
(おわり)
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