ふたりで、未来を走る
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心が少しざわついた日、なまえを見送ったあと、啓介は一人公園のベンチに座っていた。
遠くで子どもたちの声が響く。
秋の終わりの夕暮れ。
風が肌をかすめるたび、昔の記憶がよみがえる。
(オレ、あの頃はなまえがすべてだったな)
ふっと笑って、目を閉じた。
だけど──
(でも今、オレが心配になるのは…なまえ2だ)
ふいに思い出す。
なまえ2が見せた、あの小さな笑顔。
同時に、どんなにしんどくても懸命に笑おうとする、ぎこちない笑顔も。
啓介の胸がぎゅっと締めつけられる。
(あいつ、オレに「大丈夫」って言いながら、 どこかでずっと、自分を責めてんだろうな)
そう思った瞬間、体が動いた。
啓介は立ち上がり、なまえ2の家へ向かった。
彼女の部屋のドアの前で、呼び鈴を押す。
ガチャ、と扉が開くと、少しだけ驚いた顔のなまえ2がそこにいた。
「…啓介くん?」
「おい、外出よう。ちょっと話したい」
その声がまっすぐすぎて、なまえ2は戸惑いながらも、うなずいた。
公園のベンチ。ふたりで並んで座る。
しばらく沈黙のあと、啓介が口を開いた。
「…オレ、好きな子がいて。ふられてからずっと会ってなかったんだけど…今日、久しぶりに会ったんだ」
「…そうなんだ」
「ちょっとだけ、揺れた。でも…違うって分かった」
「…?」
「その子は、昔のオレの“想い出”で。“今”のオレをちゃんと見てくれてるのは、なまえ2だってこと」
「…!」
「それがこんなにもあったかくて、ほっとして、
気づいたらオレ、なまえ2の笑顔が見たくてたまんなくなってた」
言ったあとで、啓介は照れたように笑った。
「オレ、なまえ2のこと、好きだって思ったんだ。それをちゃんと伝えたくて、来た」
なまえ2は、目を見開いたまま、唇を震わせた。
「…ずるいよ、啓介くん。そんなの、嬉しすぎて…泣いちゃうじゃん…」
(つづく)