気ままにぶろぐ

一周目:好き小説紹介Ⅰ

2024/01/23 18:19
日記の頻度を増やしてみようという試みです。
推しCPや好きなジャンルの話も混じえつつ、雑談比率高めでのんびり綴っていこうぜというスタンスでやって参ります。
なお、日記はある程度溜まったら削除するのでご了承ください。

※春のテメヒカSSは2023年没作品集の方へ移動しました。

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早速雑談を。今回は最近のイチオシ小説を紹介してみようと思う。
「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」。(著:小川一水様/ハヤカワ文庫JA)SF×百合メインの作品となっている。
まず自分はSF取り扱ってる作品ほとんど読んだことがない……宇宙戦記もの、タイムリープものなら読んだことありますが、こちらはあくまでSF要素、という認識かと。
用語やら船の操縦、ベッシュ(昏魚の当て字、宇宙を泳いでる未知の魚のこと)の生態の話やらで想像のちょっと難しい場面がそれなりにあるのだが、じっくり読めば問題ない程度。会話文が多いので堅苦しさは全く感じられない。現に私は二周目を今読んでるところ。
世界観は、男と女が結婚して共同体の伴侶として宇宙で漁をする……といったところ。なんか宇宙で魚が泳いでるんです。なんで魚が?は読むと分かるよ。(全貌までは分からんけどな)なんにせよお魚から取れる資源で生活出来てるので、二人組……「デコンパ」「ツイスタ」がせっせと魚獲ってる。デコンパがデコンプレッション(精神脱圧)……粘土を消費して意のままに操り、網を作ってツイスタの操縦で獲る、という認識で読んでる。
今作は百合なので男女至上主義社会に揉まれて苦労しつつも女二人でなんとか生き抜いていく選択を目指してゆくのが本筋。

この作品はシリアスでありながら会話でコミカルに見せつつ均衡をとっているのだが、しっかり萌えも提供してくれる。でっかいテラさんとちっちゃいダイさんの体格差がその筆頭だろう。なお体格だけでなく性格も反対だったりする。テラさんはおおらかで歳上感というよりかは抜けてる所が多いが女性的で包容力もある。けど嫌なことはあんまり強く言えない。ダイさんは理知的で口が悪いが強かにしぶとく生きてる女である。ちなみにどっちが攻めとかはない。百合なので。でも体感的にはダイさんの方が男性的なものを醸しているので攻めに感じるんだよな。基本的に百合に関してはイケメン女子が急に女らしくなりすぎるとか、主人公が攻めすぎるとかではなければまあ読める。(……があんまりこなせてはいない)今作はテラ視点が多いから、より読みやすかった。
SFを多く読んでいないため、それにまつわる面白さに関しては語れないのだが、ただの読者としては1巻での伏線が3巻で回収される驚きと感動や、故郷を出て宇宙を駆けずり回るワクワクが楽しめる作品で、続刊が出たらぜひ買いたいと思っている。
そして何より、私はこの作品の文体がとても好みである。
以下、一部引用

例①:人影は、特殊な道具や能力を使っているわけではなく、ただ握力と脚力と体さばきと、二四〇年層の〇・八Gという重力の弱さだけを頼りにして、人を驚かすためというよりは人目を無視して、冒険的なアクロバットに挑戦しているように見えた。(1巻)

②:この人は本当に、頭のてっぺんから爪先まで自分の体なんだ、ということだった。おかしな表現だが、テラ自身と比べるとそうなる。テラも肉体を持っているが、それは常に自分の意識よりも大きなものだった。もっと低く、狭く、軽いほうがいいと感じ続けてきた、自分の余分な部分、そういう意識が付きまとっていた。
それに引き換えダイオードの体は、全部脱いだところを見るとやっぱり少しの無駄もない美しい造形で、少なくともテラがそれに触れるにあたっては、讃嘆と僅際、それに愛しさしか覚えようがないものだった。(2巻)

③:この女は今、とても生き生きしている。五八の惑星を飛び回ってきたのにまるで疲れを見せない。痛い目にもひどい目にも死にそうな目にも遭ったが、一発大当たりや逆転勝利や奇跡の成功を何度も引き当てて乗り切ってきた。この先に待ちかまえているだろう、最大の敵にも臆さない。まだまだ絶好調で大きな魅力を振りまいている。(3巻)

婉曲表現、言い回し、軽快だがセンスのある台詞。どれも非常に勉強になった。スクショして何回も読み直してる。
濃厚な百合というほどではないが、二人がいちゃつくシーンはしっかり描いてくれていて、毎回良い文章を浴びる快感が味わえる。ありがとうございますというお気持ち。
この作品の本質は、作中にあるとある人物の台詞が語ってくれているように思う。"——一人の人間は多くの要素、多くの側面からできている。そのすべてを他人が受け入れられることはまれだが、もつとも愛する場所を知悉していれば、紐帯を保ち続ける役に立つ。"(2巻)
少しだけ読んだ同じ作者様の短編集においても、生きるってなんだろう。ただ肉体があって、思考があることなのか。それともどちらかなのか。というテーマ性を感じたが、この作品にも近しいものを感じる。どんな姿であれ、本当に愛している大事な部分さえあれば、存在は保たれる、みたいなね。

ともかく。先の展開がどうなるかは全くもって謎だけれど、テラさんとダイさんの行く末を見守りたいと私は思ってる。ハピエンじゃなくてもまあいいんじゃね?という所感だって抱いてる。読み切れれば良きかな、と思えるのも中々珍しい。
コミカライズもしているようですが、この作品は文章の旨みや世界観の魅力を想像する愉しみが大いに感じられるので、もし気になった方はまずは是非とも小説にしかない味わいを楽しんで欲しいなと思う。
書籍:ツインスター・サイクロン・ランナウェイ-Amazon

◆余談
私、読む本の多くがラノベなのですが、どうも文体はラノベのそれじゃなくって。心理描写盛るのはラノベではそんなにやらないし、文体も一人称で軽いノリが難しく感じるので……(実際どうなのだろう)
読む本の傾向変えた方がいいのかな〜とちょっと迷ってます。ライトじゃない緻密なファンタジーは勿論、恋愛ものを厳選して読んでみようかな。ただ文体や表現を参考にしたい作品と物語を勉強させてもらいたい作品はまた別物のような気も。(なんやかんやラノベ好きなのでまだまだ読みますが)

日記ということで盛大に自分の好きなもん語っちゃいました。ご拝読ありがとうございました。

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