問題児と苦労人と泣き虫

「ほれほれ、横になって休むんだ。俺様優しいから側にいてやるよ」

「…訓練をサボりたいだけだろ」

部屋に着いたサラムはヤイバをベッドに寝かせる。

「そりゃ腕や脚をぶっ飛ばす程に過酷な訓練なんてか弱い俺様にはできっこないだろ」

「俺が守ってやるから大丈夫だ。…それに体を損傷しても再生薬がある。」

「俺様よく分かんない」

両耳を塞いで聞こえないフリをするサラム。
ヤイバはため息を吐く。

「俺様はヤイバとこうやってのんびり過ごせたらそれで十分だ」

「…それなら女遊びはやめろ。」

「それとこれとでは話が違うぜ、ヤイバ」

幸せそうな笑顔から一変、真顔になるサラム。
ヤイバは冷めた目でサラムを見る。

「ウタオルには俺様を待っている可愛い女の子達がいっぱいいるんだ…こっそり抜け出して女の子に会いに行くあのスリルも堪らないぜ」

「………。」

「…あ、もしかして俺様が女の子と遊ぶの嫌なのか?」

「…そうだな。嫌だな。」

これ以上へーリオス様の理不尽な要望に応えるのは懲り懲りだ。

数々のへーリオスの理不尽な要望を思い出し、げんなりとするヤイバ。
サラムは嬉しそうにヤイバの手を握る。

「そうかそうか~!モテモテな俺様にヤイバは嫉妬しているんだな」

「………。」

「嫉妬しているヤイバも可愛くて堪らないな」

ヤイバの特徴的な眉毛を人差し指でイジって遊ぶサラム。
ヤイバは反応する気力も無く、嬉しそうにしているサラムを見ているだけだった。

「安心しな。俺様が本気で愛しているのはヤイバだけだぜ」

「そうか…それならもう抜け出して遊ぶのはやめるんだな。」

「あぁ。愛しのヤイバがそう言うのならやめるわ~」

「言ったぞ」

これで一つ肩の荷がおりた…

ほっと安心するヤイバは眠りにつく。
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