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ヒメ先輩
電車が停まった上り側の一つ先の駅ね
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ヒメ先輩
K沼公園て在るんだけど
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ヒメ先輩
そこも、かなり出る、って噂ね。自殺者が多いとか
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ヒメ先輩と駅に戻って電車を待つ。わざわざ下り路線から見て右端、地下歩道が在る近くで。
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そうなんですね、と僕は頷いた。
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ヒメ先輩
……。まぁ、生き物は、生きていれば死ぬものよ
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ヒメ先輩
生命が生きれば、やがて寿命は潰えるが道理
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ヒメ先輩
随分と死に繋がる要因が駆逐されて来ているから、忘れがちだけどね
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ヒメ先輩
昔は知識不足に命を落とした場合は多かった
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そう言った無念が、生物が住まう土地には降り積もっているのだと。ヒメ先輩は言った。
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ヒメ先輩
そして人は争うもの
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ヒメ先輩
ましてや、ここ、S原市は軍都だった
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ヒメ先輩
造兵廠が在った。武器を造る、ね
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ヒメ先輩
市役所にも、避難していた人々が爆弾で大勢亡くなった、って話よ
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生きた人も、見ない振りした無念が、たくさん在ったの。ヒメ先輩が説く。
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ヒメ先輩
悲しい、つらい、苦しい……
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ヒメ先輩
負の感情を、穢れと呼ぶのなら、穢れていない地など無い
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ヒメ先輩
けどね、
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電車が来た。僕たちは乗り込む。
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ヒメ先輩
負の感情って、もともと愛から生まれると思うの
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ヒメ先輩
他者への愛は勿論、自己愛も含めてね
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ヒメ先輩が説き終えると同時に、自動扉は閉まった。
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