僕はノブを握り回す。

  •    【 いつも歩けば怪異に当たる ──『当たり屋』少年の“受難” 】

  •  大きな校舎の二階、真っ直ぐ廊下の突き当り。

  • 部屋は在った。

  • |僕《・》はノブを握り回す。

  • ぎぃいっと、古い戸は音を立て、開いた。

  • ヒメ先輩

    ……あら、

  •  部屋の奥、扉と向かい合うみたいにヒメ先輩は立っていた。窓へ腰を付けて寄り掛かって。

  •  僕を見止めて、本を閉じる。にぃっと笑って。

  • ヒメ先輩

    いらっしゃい……

  • ヒメ先輩

    “A高校郷土史研究会”へ

  •  さらりと流れる黒髪を揺らし、肩へ零れ落ちた幾房を後ろに掻き上げ流した。

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