俺は冷や汗を掻く。

  • ヒメ先輩

    ────もう、大丈夫だから

  • ヒメ先輩

     おかえりなさい。

  • ヒメ先輩

     最期まで、身を擲なげうってまで人を愛したあなたを、あなたを愛する人が待っているわ。

  •  ヒメ先輩が告げた。僕を抱くヒメ先輩が、全体的に光を帯びる。

  •  あたたかい。僕は目を閉じる。

  •  この途端。

  • “────、────!”

  • “────っ”

  • “────!”

  • “────”

  •  僕を呼ぶ声がして、僕はまた、目を開けた。

  • 世請《よせい》

    ────あれ?

  • ヒメ先輩

    お早う、世請くん

  •  気が付くと、ヒメ先輩が俺《・》を見下ろしていた。 

  • 寝ていた身を起こして辺りを見渡せば、鬱蒼と茂る森の中────いや、山?

  •  後ろを見返れば小さい社。

  • 世請《よせい》

    ぇ、ここ、どこ?

  •  俺が、ぽかーんと周囲を見回していれば、ヒメ先輩が深い深い溜め息を吐いた。

  • ヒメ先輩

    きみは、相変わらずだなぁ

  •  呆れた様子のヒメ先輩に、俺は冷や汗を掻く。

  • 世請《よせい》

  • 世請《よせい》

    また、俺、何か……

  •  ど豪《えら》い目に……言い掛けた俺へ、先輩が何かを寄越す。

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