お家に帰してください。

  • “もうみんな帰って来られないんだよ……私と、いっしょに行こう”

  •  お父さんのお母さんと言う人が、連れて帰ってくれたけど。

  • “あら……どうして、猫が? 息子が連れて帰って来たのかしら?”

  •  その人は、すぐに僕が、わからなくなってしまった。

  •  その人が勝手に家を出てしまうから、僕は追い駆けて。

  •  最期に見たのは。

  •  お父さんのお母さんが持っていた、お父さんの携帯端末。

  • 中の写真や動画には僕やお父さんやお母さん、お姉ちゃんが写ってたから、自分のだって勘違いしてたのかな。

  •  が、お父さんのお母さんが、びっくりして倒れたときに道の端へ転がって行ったのと。

  •  首の捻じれた僕から出て、地面に拡がり染みる、血。

  •  僕を轢いた人は、お父さんのお母さんへ駆け寄った。お父さんのお母さんは、大丈夫だったみたい。

  •  次いで、轢いた僕を見て、哀しそうにしてた。

  • ────ごめんなさい。

  •  ごめんなさい。

  •  どうしても、お父さんのお母さんは、助けたかったの。

  •  僕が足止めになれば良いって。

  • ごめんなさい。嫌な気持ちにさせて

  • “やだ、野良よ!”

  •  でも僕もう『野良』じゃないから。

  • お父さんのお母さんを助けてください

  • お家に帰してください

  •  ごめんなさい。

  • ……ああ、コレは、神社《ここ》の前の、道路で起きたのか

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