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七日前
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ぼく
今日久々に商店街行ったんですよ
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きみ
ほぅ
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きみ
ん?
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きみ
家の近くになんて在ったっけか? 商店街
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ぼく
すっかり忘れてたんだけどさ、在ったんですよ
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スーパーでの激戦後、翌日一日たっぷり戦場の傷を癒したぼくは、翌々日町を散策した。地元を歩き回るなんて大学に入ったばかりのころ以来だ。
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もう一つのスーパーもコンビニも、前日のスーパーと負けず劣らずがらんとしていて、商品は何も無かった。まだ配給自体は止まってないそうだけど、追い付いていないのが現状だとか。
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多少がっかりしながら他に店は無いかと探した。せめて、せめて缶詰の一つで良いから欲しい。
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すでに一日醤油ラーメンで過ごしたが、朝晩の二食で限界だった。
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祈るような気持ちで一本細い路地を入って抜けた先、ぼくは商店街に足を踏み入れていた。
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そう言えば、引っ越しした当初の探索で、一度来たことが在ったのを思い出した。
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ぼく
そしたらさ
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きみ
うん
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ぼく
何と、米が在ったんですよ!
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きみ
おっ
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商店街は良くも悪くも古き旧き善きと言った感じで、普段からなのか、それともスーパーやコンビニといっしょで蝗の……もとい主婦たちの洗礼を受けたのか、少々寂れていた。
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開いていない店も幾つか在る。これはあの報道の前もなのか、はたまた報道のせいで買い占めが発生したがゆえに畳んでいるのかはっきりしない。ぼくは閉まるシャッターが並ぶ中、挟まれて営業中の酒屋さんの前で足を止めた。
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酒屋さんなら、米、在るんじゃない? と考えて。
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ぼく
おいらの目に狂いは無かった! 米は在った! 残り僅かだったけど! 更に缶詰も在った! おつまみ用だけど!
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ぼく
買ったよねー。いやー、良かったっすわぁ
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一昨日とは打って変わって、嬉々とした様子が文面から窺える。
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きみ
うむ。おめおめ
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なので、きみのメッセージも素直にぼくを讃えた。
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しかし。
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きみ
して
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ぼく
うぃ?
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ここで終わらないのが、きみと言う人間だった。
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きみ
肉や魚や野菜は?
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きみ
あと卵
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きみ
卵が在れば何でも出来る
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きみ
だって袋麺と米とおつまみの缶詰だけじゃしばらく厳しくない?
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ぼく
……
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きみ
たまに酒屋さんでも売ってたりすんじゃん。ウチの地元とかスーパー無かったりするとそうなんだけど
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ぼく
……
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きみ
?
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ぼく
在る訳無かろうが!
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ぼく
在ったとしても売ってないよ! 一昨日の惨状考えてみれやぁああぁ
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きみ
おぉう
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きみ
えぇと、
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きみ
ごめん
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きみ
乙
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