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ぼく
卒業してさ、私が大学院に進んだあときみは地元に戻ってさ
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ぼく
私を置いて高校の先生になっちゃうし
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ぼく
地元で就職されたら困るよ
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ぼく
私のやりたいことは、そっちじゃ出来ないのに
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きみ
ごめん
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きみ
だって決めてたからさ
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ぼく
知ってた
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ぼく
だから終わりかなって思ってたのに
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ぼく
あんなときに、あんなこと言うから
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ぼく
私が弱るの、虎視眈々と狙ってたのかよって
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ぼく
腹立ったんだよ
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きみ
ごめん
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きみ
付け入ったのは、認める
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ぼく
高校時代からいつもそう
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ぼく
油断ならない
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きみ
あははは
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少し、間が空いた。
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ぼく
でもね
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ぼく
今になったら、やっぱり逢いたいな
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ぼく
って、思っちゃうんだよね
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ぼく
くっそ
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ぼく
貴様、私の生活に入り込み過ぎだろ
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ぼく
腹立つ
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きみ
ごめんて
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ぼく
会いに行っちゃおうかな
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ぼく
まだ、日付変わってないもんね
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ぼく
がんばってさ
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きみ
駄目だよ
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ぼく
何でさ
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きみ
危ないからだよ
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きみ
絶対外に出ちゃ駄目だよ
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きみ
あと一人でいないこと
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きみ
言ったでしょ
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きみ
散々
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ぼく
何でよ
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ぼく
きみは、私に遭いたくないの?
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きみ
逢いたいよ
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きみ
決まってるじゃん
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ぼく
じゃあ、何で
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ぼく
何で駄目なの
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前回も感じて訊けなかった違和。
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今訊けたのは、勢いだった。
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しばらくしてメッセージが表示される。
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きみ
姉さんが、死んだからだよ
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ショックな告白だった。
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きみ
テレビ観たでしょ
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きみ
暴動が原因の多重事故
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きみ
あそこに、姉さんが義兄さんといたんだ
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ぼく
何で
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きみ
こっちに向かってる最中だった
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きみ
混乱した現場には駆け付けられなくて
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きみ
運ばれて来た姉さんと対面したよ
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ぼく
そんなこと
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ぼく
何で言ってくれなかったの
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きみ
動揺させたくなかった
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きみ
怖がらせたくなかった
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きみ
それに
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きみ
こんなこと言ったらこっちに来るでしょ
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きみ
優菜まで死んだら、立ち直れないよ
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きみ
どうせ死ぬのかもしれないけど
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きみ
最期までいっしょに生きてて欲しかったんだ
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ぼく
本当はね
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ぼく
そっちに行こうと思ったんだ
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ぼく
親も心配だったし
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ぼく
凄い嫌なヤツだけどさ
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ぼく
十日前までのみっともない私は、今だったらみっともない自分を忘れて会える気がしたんだ
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ぼく
きみにも親にも
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ぼく
アメリカに行った優秀な兄ちゃんへの愉悦も在ったよ
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ぼく
嫌なヤツだよね
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ぼく
だから、行けなかった
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ぼく
駅は似た人でごった返してた
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ぼく
天罰だね
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きみ
知ってたよ
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きみ
滅亡宣言の翌日でしょ
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きみ
袋麺しか買えなかった日
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きみ
あと、商店街思い出した日と、
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きみ
大学行った日
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ぼく
うん
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ぼく
駅は相変わらずで
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ぼく
で、私車無いからさ
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きみ
都会は車が逆に邪魔だしな
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ぼく
うん、でさ
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ぼく
同郷だった教授とか途中までいっしょに行けないかなって
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ぼく
いなかったんだけどね!
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きみ
ははは
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きみ
乙
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