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6月、OB総会当日は快晴となった。これから数時間自転車を漕ぐ連中からすると嫌味な程の青空である。早朝から駐車場にて装備確認を終えた一行は、まもなく出発の時を迎えていた。結局、ママチャリではなく全員マウンテンバイクだ。なにやらOBの手が回ったらしく、前日までにレンタル品が部室の裏の雑草に並んでいた。

路上に置かれたザックたちは壮観であった。色鮮やかにどれも膨れている。新入生二人もそこそこの量を任されているが、先輩方には遠く及ばない。陸遜が試しに徐盛や丁奉の物を背負うと、立っているのが精一杯だった。これを背に自転車を漕ぎ続けるなど考えられない。朱然と共に今日までトレーニングしてきたが、まだまだ未熟な体に少し落ち込んだ。そんな陸遜の頭を優しく撫でるのはやはり呂蒙だ。

「そう焦るな。向き不向きもあるだろう。お前が一生懸命鍛えているのは知っている。誰も文句は言わん」
「呂蒙殿……ありがとうございます。なんだか、あの山の時を思い出しました」
「ああ、あの時は俺のを持ってひっくり返ってたからな」
「それは過言です」

むっとして言い返す陸遜に、呂蒙は笑いながらとぼけた返事を繰り返す。悔しくなって呂蒙のザックを背負い、立ち上がった。少し腹筋がつりかけたが、当時程の絶望はない。少しは歩けそうだ。呂蒙に見せびらかす。

「前より、レベルアップしました」
「ははは。そうだな。頼もしいぞ」

呂蒙はまた優しく笑って陸遜の頭を撫でた。どうしても顔が熱くなる。呂蒙と並んで山に登るためには筋力体力の強化が必須、陸遜の脳に新たな目標が刻まれた。

「いざ、出陣!」

孫権の声に、自転車一行はまた大声を張り上げた。
住宅街を抜け、田園風景が広がるようになると、縦隊は自然と二列になっていった。出発当初の先頭は徐盛で、きっちり交通ルールを厳守させペースメーカーを担っていたが、道幅が広がってからは崩れた。筆頭は甘寧である。

「おらおらおらぁ!!凌統、遅えんじゃねえの!?」
「ったく吠えてんじゃねえっつの!田んぼのおばあちゃんびびってるって」
「良い子ぶりやがって、涼しい顔してバテバテかよ!」
「調子乗ってると痛い目見るぜ!」

今日も二人は言い争っている。後ろにいても聞こえるほどの声量でがなりながら、ふらつくことなく自転車を漕ぎ続けているのだから大層なものである。凌統のいない部会では落ち着いて見えた甘寧だったが、陸遜の目には今元気いっぱいに映っている。凌統も挑発に乗ってペダルを漕ぐ足を速めている。陸遜を抜かしていった時の横顔はどこか満足そうだった。やはり心底嫌っている者同士という訳ではなさそうだ。
各々がゆったりと漕ぐ中、呂蒙が陸遜の隣に着いた。どうやら気に掛けてくれているらしかった。

「ご安心ください。この通り、順調に進んでいますよ」
「なら良かった。今日は暑い。熱中症にも気を付けていくぞ」
「はい。あのお二人、あのハイペースで大丈夫なのでしょうか」
「甘寧と凌統のことか?あいつらのことはいい。何があっても自業自得だ」

やけに二人には厳しい呂蒙に、陸遜は思わず笑う。大分手を焼いているからだろう。そうは言っても呂蒙の目の前でもし二人に事故があれば、顧みず救出するであろうことは容易に想像できた。

「いい天気だな。総会などすっぽかして、どこかに行ってしまいたい」

それは、二人で?陸遜は浮かんだ質問を内にしまった。

「呂蒙殿がエスケープしてしまったら、どなたがあのお二人をまとめるんですか」
「俺はあいつらの保護者か?」
「私にはそう見えます」
「大丈夫だ、太史慈殿がなんとかする」
「凌統殿は聞きそうですけど、甘寧殿はどうでしょうか」
「むう……確かに……。よく見ておるなぁ」

嫌でも目に入ります、とまでは言わず、陸遜は苦笑した。甘寧は良くも悪くも目立つ。今日に至るまで、甘寧にも何度か付き合ってもらい、活動の練習を重ねてきた。その中で分かってきたのは、説明は下手だが確かな実力があること、活動への熱意が高いこと、野郎共と呼ばれる謎の手下がいることなどだ。乱暴でも粗雑でも人を惹きつける力がある、と陸遜は分析していた。それでも、呂蒙の傍にいる時のようなときめきは感じない。性別や年齢ではなく、呂蒙そのものに焦がれている証拠である。何を考えていても呂蒙に結着してしまう状態に慣れてきた陸遜は、気掛かりを尋ねることにした。

「呂蒙殿にとって、魯粛殿はどのような方ですか」
「魯粛殿は一言でいえば師、だな。川も山も力任せでしか活動していなかった俺に、頭を使うよう教えてくれたのが魯粛殿だ」

空は青く、周りは田畑で囲まれ、時々蝉の声が響き渡る。自転車で駆け抜けると実に気持ちが良かった。平穏な環境が陸遜に凪をもたらした。ゆっくり語ってくれる呂蒙の声も耳に心地よかった。

「例えば川、パドルを刺して引く。これだけの動作だが、全員が強引にやるより、水の流れを読み、最小限の人員で動いた方が推進力は保たれる」
「そうですよね。意外なのですが、甘寧殿が同じようなことを。呂蒙殿の教えですか?」
「あいつは言っても聞かんが見れば覚える。そういうタイプだ」

陸遜は納得して頷いた。野生的センスの持ち主で、目指しても甘寧のようにはなれないだろう。

「まあとにかく、俺は見ただけじゃ分からん方でな。魯粛殿は根気強く叩きこんでくれた。人のよさそうな笑顔で、なかなかにシビアだったぞ。だいぶ頬がこけた」
「ふふ。呂蒙殿が憔悴なさるのは珍しい気がします」
「お前らの前では先輩ぶっているだけだ。今日、俺の化けの皮が剥がれるところが見られるぞ」

OB陣の前ではこの呂蒙ですら赤子の域なのだという。背中にぞっと寒気が走りながら、陸遜はしっかりと答えた。

「どんな呂蒙殿を見ても、変わりませんよ。私の中では敬愛する先輩です」
「陸遜……」

漕ぎながらこちらを見てきた呂蒙に、陸遜はしっかりと目を合わせた。走行中なのでかち合ったのは一瞬だが、思いの強さは伝わったようだった。

「さすがにチャリでは撫でられんな」
「残念です」
「俺もだ」

入部から二か月。呂蒙と軽いやり取りが出来るくらいには近づいている。呂蒙の感情が親密な後輩の域を出るか否か、確かめる方法をただ探り続けていた。


***


事故なくキャンプ地に着いた一行は、徐盛や丁奉の指示に従いながらテントを組み立てていった。二人は自然を傷つけずかつ熟睡できる場所を見つけ出すのが上手い。特に今回は現役のみならずOBが寝る場所の確保である。相当気を払って選んだ場所は、傾斜もなく岩もほとんどないところだ。

「ジジイらを優遇すんのはまあいいけどよ、俺らのテントの下ゴッツゴツじゃねえ?」
「おい、そろそろ来るぜ。そういう口の利き方、俺までシバかれるからやめろって」
「へえへえ。一番酷えとこ、二人で寝るか凌統」
「何で地獄に地獄を重ねなきゃなんないんだっつの」

なにやらまた言い合いをしているが、甘寧と凌統の手さばきは慣れたものである。骨組みからペグ打ちまでが異様に早い。まだまだ考えながら設営を行う陸遜には真似できないものだった。

昼休憩を挟みながら設営を終えた。離れて見ると、ずらっと並んだテントたちは圧巻だ。部室にあった全てのテントを立てたのだから新歓合宿とは比べものにならない。呂蒙に誘われてOB方のテントを覗いた陸遜と朱然は目を丸くした。芝生の上に敷かれたテントは、更に分厚いエアーマット完備で実に寝心地が良さそうだ。ペラペラのシートのみの自分たちとは扱いが違う。丁奉と練師が特に気を遣って整えたのだという。

「まあ、設立当初の方々はほぼご老人に近いからな。腰を労わってやらねば」

呂蒙が腕組しながら言う。その背後から人影がやってきた。

「ほう。阿蒙が言うようになったか」
「可愛い後輩が入って調子づいている奴らを捻るのもわしらの仕事よ!」
「てっ、程普殿、黄蓋殿!お着きでしたか」

一気に顔色が悪くなった呂蒙が腰を折って挨拶した。直角。最敬礼のお辞儀である。陸遜と朱然もただ事ではない空気を察知して倣った。

「一年の陸遜と申します」
「同じく一年の朱然です」
「黄蓋だ。なんだ、お主ら本当に可愛い顔しとるのう!」
「……程普だ。ゆめゆめ気を抜いた活動をせぬよう、精進してくれ」

にこにこと大声を張る黄蓋とむっつりと話す程普の二人からは、同じような圧が出ている。新入生の喉がごくっと鳴った。

「おおい。俺もいるからなぁ」
「韓当殿!」
「ああ、なんだか安心します。よろしくお願いいたします!」
「お前ら、いい奴らだなぁ……けど、俺も古参の一人。活動は厳しく見るからな」

咎めるように言う韓当だが、目尻の笑い皺は隠せていない。威圧も前二人よりは抑えられているように感じた。

「程普、黄蓋、韓当!一年ぶりになっちまったなぁ!」
「ご無沙汰しておりました。皆さま息災で何よりです」

そこへ孫策と周瑜が現れた。二人は古参のメンバーより若いが放たれるオーラは強く眩しい。陸遜もだんだん身を縮こませた。OB軍団に囲まれる居心地の悪さはこれまであまり味わったことがないものだった。朱然と目を合わせ、同時に一歩下がった。

「おお、孫策殿。変わらんなぁ」
「黄蓋、よく見ろよ。大人の余裕って奴が出てるだろ」
「周瑜、なんだその白い肌は。就職したからと言って怠けているのではあるまいな」
「程普殿、私が卒業してからもう数年経ちますよ。鍛錬は続けております。ご心配されることはありません」

OBらの会話は傍で聞いているだけでいっぱいになった。さすがの呂蒙も口を挟まず直立のままだ。化けの皮が剥がれたところ、と言っていたが陸遜にとってやはり呂蒙は呂蒙のままだ。先達らに可愛がられていそうなところも含めて、とても好ましい。
現役軍団を覗き見ると、孫策や周瑜と一緒に車で来たらしい二喬が合流して華やかになっていた。騒がしさも含め、若々しい空気が立ち込めている。

そこに新しい風が来た。陸遜は黄金がやってきたのかと錯覚した。眩い黄金の装飾だけではなく、緩やかに笑む表情や佇まいの全てが威風堂々としている。その男がゆったりと手を差し伸べた。陸遜と朱然は流れるままに握手する。

「二人とも、よく孫呉に与してくれた。俺が創部長の孫堅だ。息子と同じ音ですまないがな」

目を細めて柔らかく笑う顔に二人が頭を下げて挨拶し、名を述べた。決して怖い訳ではないのに、やや声が震えて勝手に背筋が伸びた。圧倒的な存在感によろけそうになるのを必死で堪える。

「父上、兄上。ご無事の到着、安心いたしました」
「おお、権。頼もしくなったな。自転車で着たお前らの方がよほどだろう。無事で何よりだ」
「権、テン場いい感じじゃねえか。見る目あるぜ!」
「ふふ。策兄さまに褒められたら、喜びすぎちゃうんじゃないかしら」

陸遜と朱然は総会前に孫一族の関係性を教えてもらっていた。孫策、孫権、孫尚香の父親が創部者と聞いた時点で凄い人物であろう想像はついていたが、実物の荘厳さにはおののくばかりだ。そんな陸遜の背を、とんと叩く人物がいた。振り返ると、魯粛がやはり鷹揚と笑って立っていた。

「どうだ、陸遜。OB陣は」
「魯粛殿。どうぞよろしくお願いいたします。正直、圧倒されます。体格も威厳も凄いですね」
「凄絶な方々がお作りになった部……自分は燃えてきました」
「そうか。二人には大分期待がかかっているからな。励むんだぞ。呂蒙、お前はきっちり後輩に指導できているか監視してやるからな」
「は、お手柔らかにお願いしたいところです」

平身低頭の呂蒙の頭を魯粛が撫でる。犬を撫でるようなぐしゃぐしゃした手つきだが、やはり陸遜の心には火が付いた。自分の立ち振る舞いで呂蒙の評価が変わるとあれば、絶対に粗相はできない。

「さぁ、お喋りもいいが……そろそろ始めるか」

孫堅のその一言で、一気に場の空気が変わった。現役生が集まる。陸遜と朱然も呂蒙に引き付けられて軍団に溶け込んだ。OB分の椅子を並べる者、資料を配る者、整列を促す者と続々分かれていく。新入生の二人に役割は今のところなく、OBの隣でレジャーシートに座るよう伝えられた。来年に向けてしっかり見ることが与えられた使命である。レジュメは明朝体のフォントでかっちりと作られていた。こういった資料を見るのが好きな陸遜は、本日までに三度は目を通している。

「これよりOB総会を始めます。お集まりの皆様、大変お忙しい中ありがとうございます。こうしてまた無事に顔を合わせられたこと、心より嬉しく思います」

練師が丁寧に言葉を発していく。その横にいる丁奉は地蔵のように静かに立ち、甘寧は腕を組んで片足を遊ばせていた。既に不遜な態度に陸遜がそわそわしてくる。
練師のスムーズな司会によりスケジュールなどが伝えられたのち、活動報告をすべく甘寧が前に出た。現役生の不安げな視線を物ともせず、堂々とした立ち振る舞いだ。

「あー、んじゃ、始めまっす。つっても、去年デカい事故は一件もねえ。いつも通りにやった」

サイドから凌統が飛んできた。甘寧の尻に回し蹴りを決める。

「いてえ!何すんだよ凌統!」
「あんたが馬鹿みてえな報告するからだろ!」

それこそいつも通りのやり取りに、呂蒙は天を仰ぎ陸遜は内心呆れた。荘厳なOB陣を覗き見ると、嘆息や苦笑といった反応である。
甘寧は胸倉を掴む凌統の手首をしっかり握り、目を合わせた。目力に圧された凌統が手を離す。甘寧はOBの方を向き直し、両手を合わせた。OBの斜め前にいる練師が部会の時のようにタブレット端末で画像や映像を見せる。川下り、沢登り、登山。映る部員は皆真剣な顔つきだ。

「すげえ人たちが創った熱い部だ。続けるためにゃ、俺でも勉強する。事故なんざ起こさねえ。んで、断言する。去年も滾る活動が出来た」

まともな敬語も使わない、あまりにざっくりした報告だ。だが、甘寧の張りのある声と自信に満ちた瞳が厳しいOB陣を唸らせた。孫策が両腕を組んだまま豪快に笑った。

「いいなあ、甘寧!そうだぜ、俺たち孫呉はずっと、熱く長く続いていかなきゃなんねえ。その意気込みがあるって知れて、嬉しいよなあ、皆!」

孫策の声に合わせて、拍手が鳴っていく。

「楽しむために全力を尽くす!わしもその意気、買ったぞ!」

黄蓋が立ち上がって称賛する。なるほど、孫呉というのはこういった熱心な人間がいて成り立っていったのかと陸遜は感動させられた。甘寧の衝動的な振る舞いや不真面目な勉学姿勢には共感できないが、この熱意は強く惹かれるものがある。

「父上。甘寧の言い方は粗雑ですが、的を射ております。我々は孫呉を継続するために、清く、正しく、熱く活動してきました。その成果が実を結び、昨年は20もの合宿を無事故で終えることが出来ています」

孫権が語りながら甘寧の隣まで歩いてきた。結局部長にフォローさせてしまったことから、凌統が近くで動揺している。孫権は手で凌統を制してから、甘寧の背を叩いた。続けよ、と聞こえない声が聞こえる。

「すいやせん。きちんと伝えますぜ。20のうち、川に4回、山に――」

甘寧は打って変わって落ち着き、資料に沿って合宿の報告をしていった。回数、場所、成果、反省点。きちんとした軌道があればきちんと転がっていくものなのかと陸遜は驚いた。
後は任せても大丈夫、といったように孫権が袖に去っていく。凌統もそれに倣って下がっていった。

OBからは時折厳しい質問もあったが、甘寧は正確に答えていく。技術的なこと、活動の意義、次のアクション。甘寧が淀みなくはっきり回答するので、OBらも満足したようだった。陸遜は呂蒙の方を見た。とても嬉しそうに頷いている。いつも背負わされている苦労が報われているのだろう。陸遜は純粋に甘寧のことを格好いいな、と評価した。決して同じようになれない、孫呉にあるべき人材の一人だとも。

OBからの質問も報告事項も全て終わった。甘寧は真面目で強気な表情を途端に崩して、破顔した。人懐っこい笑顔だ。

「そんなわけで、ボートもう一個買ってくれ。新しいザイルも。頼むぜ、OBサマ方」

にっこり笑って出過ぎたことを言うので、現役生はほぼずっこけ、OBの一部は爆笑し、一部はしてやられたと言わんばかりにため息をついた。甘寧の独り勝ちである。

「では某が続けて。この熱き孫呉を安全に確実に繋いでいくための――会計報告をいたします」

そんな空気のまま強面の巨体が割り込んできて、孫策と黄蓋は文字通り笑い転げた。孫堅も高らかに笑っている。程普はむっつりと組んだ腕を崩さず、魯粛はやはり鷹揚に笑い、周瑜は美しく穏やかな表情であった。韓当はずっと喜怒哀楽表情豊かにリアクションしていたが、気付いていたのは朱然だけであった。

丁奉のきちんとした会計報告は先の甘寧とのギャップもあり、つつがなく終了した。周瑜などは積極的に仔細を確認していたが、使い道も回答も適切だったので綺麗な髪を靡かせて頷いていた。

陸遜は空を見上げた。よく晴れている。恐々来た総会だが、すでに充足感でいっぱいだ。新歓合宿の激情的な楽しさとはまた違った充実がやってくる。近くで流れる水流の音や木々の揺れる音のように、じっくりと幸福が滲む。この部に尽くしたい。強くそう思わされた。

「よし。いいだろう。皆、後進の活躍は十分伝わったな」
「親父も良い顔してるぜ。皆、よくやってくれたなぁ!」

孫堅と孫策が笑顔でそう言ってくれるので、孫権を筆頭とする現役一同は胸を撫で下ろしたのだった。
現役からの報告が終わると、OBのターンとなった。OB会費の会計報告などを周瑜が淡々と行っていく。今年度の予算に先ほどの甘寧の告げた物品も口頭で加えられた。

次に前に立ったのは魯粛である。既に全員に行き渡っている明日の活動について説明があった。OB陣は久しぶりの川下りに胸を弾ませているようだったが、現役生は重苦しい。

「あと、夜は恒例の宴、ということで間違いないですかな、孫権殿」
「ああ。宴会の場は無礼講だ!新人二人は、OBらを楽しませてくれ」

孫権の一声に、OB陣がざっと陸遜と朱然を見た。緊張が最高潮になった瞬間だった。



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