蒙甘
・蒙甘で現パロ。学生時代~社会人で色々捏造
・ゲストの凌統はオリジナルの女子と結婚し父になる描写があります
・Rシーンはありませんが下品です
おっさんに惚れた。文字通り、相手はおっさんだ。イタイケな高校生だった俺は急にそいつに惚れた。しかも教師。長い地獄だった。不幸自慢じゃねえが、今でも時々愚痴りたくなる。
呂蒙はひげ面胸元開けの見た目のわりに暑苦しい熱血真面目頑固教師だった。ギャップがすげえ。そんなおっさんに高校の入学式でだらしなく着崩した制服を指摘され、つうかがっつり説教されて最初は驚いた。小学校でも中学校でも大人からは相手にもされなかった。ツラが悪いのとちょっとばかし力が強いのを武器に色々やらかした結果、真っ向から叱る大人はいなくなったってわけだ。俺に歯向かってくるのは中二から一緒のキザ垂れ目くらいで、それ以外は大体距離を置かれている。だからおっさんが俺の目を見て叱ったことも、こっちが反発しようと全く怯まずに怒ってきたことも、新鮮な気がしていた。
十六になっても中二病のままの俺は、おっさんを試しまくることにした。どこまでやったらキレるのか、いつまで見放さずにいんのか。学校っつう狭い箱の中であれこれ考えながら動くのは変な話だが楽しかった。
制服を崩す。頭を小突かれて、時々笑いながらちゃんと毎回怒られる。おっさんも胸開けすぎじゃねえかと言うと眉を吊り上げるのが面白え。
授業をサボる。最初は心配されたが、ダリィからというと毎度きっちり小言が降ってくるようになった。
早弁。授業中だけはやめろと言われた。休み時間にアメやら駄菓子やら寄越すようになった。毎回じいさんみてえなチョイスで笑った。
凌統と喧嘩。別に試しにやった訳じゃなく、いつものノリで始まって、ちょっと激しくなっただけだが、どっちも強烈なゲンコツを食らった。
二階から飛び降り。これは結構まずかった。好奇心でやったらこれまでで一番怒られた。だが、俺が怪我するかもしれないことを一番メインにキレていて、ぶっちゃけ感動した。
で、惚れた。
頭がおかしいのは分かってる。が、俺の行動一つ一つに毎回真剣に付き合ってくれるのがすんげえ嬉しくて、いつでも呂蒙のことを考えていることに気付いて、その理由を考えてみたらそこに行きついた。最初は人間的にだろと思ったが、意識してからおっさんに触れられると心臓が爆発したようにうるさくなってビビった。それはもう、恋じゃねえか。なんてこった。呂蒙に惚れちまった!
分かってから三日休んだ。どうやって顔合わしたらいいんのか分かんなくなって、これまでどう接してたかも忘れて、一人で唸り続けた。
三日目の夕方、無視してもずっとスマホが鳴り続けるので、ムカついて通話に出た。凌統だった。
「んだよ、うぜえな」
『なんだ、生きてんのかい。ついに死んだかと思った』
「お前の息の根先止めんぞ」
『イキる元気あるんだ。心配損だな』
たった三日休んだだけでこいつが心配なんぞするわけねえ。布団から体を起こすのもだるくてスピーカーに切り替えた。ベッドでごろごろしながら適当に喋るのが丁度いい。
「お優し~い凌統くんが心配してくれて嬉しいぜ」
『キッモ!てかキッツ!俺なわけないだろ。呂蒙先生だっつの』
急に出てきたワードに反応し過ぎて、寝返りが行き過ぎて、落ちた。床に散乱したプラモが刺さって痛ぇ。俺のドタバタやら呻きが聞こえたのか、スマホの奥から鼻で笑ったような音が聞こえた。スピーカーになんかするんじゃなかったぜ。
『ほーんと、あんたみたいなのに呂蒙先生って優しいよな。すげえ心配してたぜ。馬鹿は風邪引かないって言っといたよ』
「お前、マジで殺す」
『はいはい、学校でね』
心なしか弾んだ声でムカつく。目の前にいたら絶対ぶん殴ってる。凌統とは喧嘩しすぎてお互いの動きが読めるくらいだが、だからと言って殴り飽きるってこともねえ。つうか腹立つとどっちも手足が先に出る方で反射的に喧嘩になる。
いや、あいつのことなんかどうでもいい。それよりおっさんだ。心配してんのか。クラスは三十五人。あんなにいて、たった三日サボっただけでわざわざ特別に気に掛けるわけねえ。多分凌統にも軽く聞いたんだろう。甘寧、大丈夫か?なーんてな。
自分の空想が思ったより効いた。なんつうか、おっさんに名前呼ばれっと、嬉しいんだよな。よくよく考えりゃ、これまであんまり名前を呼ばれなかった気がする。中学までのクソな教員共は呼ばなかった。お前とか、ひでー奴はクズとか不良とか。
でもおっさんは違う。叱る前は必ず目を見て俺を呼ぶ。甘寧。てめえの名前がちょっといい感じに聞こえる。
明日は行くか。
自然とそう決まって、決めたら腹も減ってきて、俺は無事マトモな生活に戻った。
朝、いつも通り着崩して、遅刻ギリギリの時間に登校した。廊下の途中で呂蒙に会えた。
「甘寧。おはよう。今日は来たか」
「おう、おっさん!心配しすぎてまた老けたんじゃねえか?」
俺は気恥ずかしいのもあってこんな可愛くねーことしか言えない。まあ、いつも通りには出来てっか。
呂蒙は呆れたように笑ってから俺のゴワついた髪を撫でた。細めた目の奥の瞳とかち合う。
「まったく、こっちの気も知らんで」
やっべ、心臓死んだ。
おっさんは引き続き笑って俺の頭を撫でている。
「まあ、元気なら何よりだ。それより甘寧、お前の制服はもう少しどうにかならんのか」
「……トーハツ自由の学校で、いちいちうるせえのおっさんくれえだぜ」
「限度というものがあるだろう。パンツ見えてるぞ。あと、俺はおっさんではない!」
やべえ。分かった。これが確信するってことだな。俺ぁおっさんが好きだ。マジで。
「へへっ。おっさんの小言聞くと来たかいあんな。鐘鳴ってるぜ、先生」
「だからおっさんでは……しまった、配るプリントがあるんだった。甘寧も手伝え!」
「げっ、パシりかよ」
学校が楽しいなんて思うようになるとはな。すげえ奴だ。すげえ奴に惚れられて、すっげえ嬉しいと思った。
こん時はだ。
・ゲストの凌統はオリジナルの女子と結婚し父になる描写があります
・Rシーンはありませんが下品です
おっさんに惚れた。文字通り、相手はおっさんだ。イタイケな高校生だった俺は急にそいつに惚れた。しかも教師。長い地獄だった。不幸自慢じゃねえが、今でも時々愚痴りたくなる。
呂蒙はひげ面胸元開けの見た目のわりに暑苦しい熱血真面目頑固教師だった。ギャップがすげえ。そんなおっさんに高校の入学式でだらしなく着崩した制服を指摘され、つうかがっつり説教されて最初は驚いた。小学校でも中学校でも大人からは相手にもされなかった。ツラが悪いのとちょっとばかし力が強いのを武器に色々やらかした結果、真っ向から叱る大人はいなくなったってわけだ。俺に歯向かってくるのは中二から一緒のキザ垂れ目くらいで、それ以外は大体距離を置かれている。だからおっさんが俺の目を見て叱ったことも、こっちが反発しようと全く怯まずに怒ってきたことも、新鮮な気がしていた。
十六になっても中二病のままの俺は、おっさんを試しまくることにした。どこまでやったらキレるのか、いつまで見放さずにいんのか。学校っつう狭い箱の中であれこれ考えながら動くのは変な話だが楽しかった。
制服を崩す。頭を小突かれて、時々笑いながらちゃんと毎回怒られる。おっさんも胸開けすぎじゃねえかと言うと眉を吊り上げるのが面白え。
授業をサボる。最初は心配されたが、ダリィからというと毎度きっちり小言が降ってくるようになった。
早弁。授業中だけはやめろと言われた。休み時間にアメやら駄菓子やら寄越すようになった。毎回じいさんみてえなチョイスで笑った。
凌統と喧嘩。別に試しにやった訳じゃなく、いつものノリで始まって、ちょっと激しくなっただけだが、どっちも強烈なゲンコツを食らった。
二階から飛び降り。これは結構まずかった。好奇心でやったらこれまでで一番怒られた。だが、俺が怪我するかもしれないことを一番メインにキレていて、ぶっちゃけ感動した。
で、惚れた。
頭がおかしいのは分かってる。が、俺の行動一つ一つに毎回真剣に付き合ってくれるのがすんげえ嬉しくて、いつでも呂蒙のことを考えていることに気付いて、その理由を考えてみたらそこに行きついた。最初は人間的にだろと思ったが、意識してからおっさんに触れられると心臓が爆発したようにうるさくなってビビった。それはもう、恋じゃねえか。なんてこった。呂蒙に惚れちまった!
分かってから三日休んだ。どうやって顔合わしたらいいんのか分かんなくなって、これまでどう接してたかも忘れて、一人で唸り続けた。
三日目の夕方、無視してもずっとスマホが鳴り続けるので、ムカついて通話に出た。凌統だった。
「んだよ、うぜえな」
『なんだ、生きてんのかい。ついに死んだかと思った』
「お前の息の根先止めんぞ」
『イキる元気あるんだ。心配損だな』
たった三日休んだだけでこいつが心配なんぞするわけねえ。布団から体を起こすのもだるくてスピーカーに切り替えた。ベッドでごろごろしながら適当に喋るのが丁度いい。
「お優し~い凌統くんが心配してくれて嬉しいぜ」
『キッモ!てかキッツ!俺なわけないだろ。呂蒙先生だっつの』
急に出てきたワードに反応し過ぎて、寝返りが行き過ぎて、落ちた。床に散乱したプラモが刺さって痛ぇ。俺のドタバタやら呻きが聞こえたのか、スマホの奥から鼻で笑ったような音が聞こえた。スピーカーになんかするんじゃなかったぜ。
『ほーんと、あんたみたいなのに呂蒙先生って優しいよな。すげえ心配してたぜ。馬鹿は風邪引かないって言っといたよ』
「お前、マジで殺す」
『はいはい、学校でね』
心なしか弾んだ声でムカつく。目の前にいたら絶対ぶん殴ってる。凌統とは喧嘩しすぎてお互いの動きが読めるくらいだが、だからと言って殴り飽きるってこともねえ。つうか腹立つとどっちも手足が先に出る方で反射的に喧嘩になる。
いや、あいつのことなんかどうでもいい。それよりおっさんだ。心配してんのか。クラスは三十五人。あんなにいて、たった三日サボっただけでわざわざ特別に気に掛けるわけねえ。多分凌統にも軽く聞いたんだろう。甘寧、大丈夫か?なーんてな。
自分の空想が思ったより効いた。なんつうか、おっさんに名前呼ばれっと、嬉しいんだよな。よくよく考えりゃ、これまであんまり名前を呼ばれなかった気がする。中学までのクソな教員共は呼ばなかった。お前とか、ひでー奴はクズとか不良とか。
でもおっさんは違う。叱る前は必ず目を見て俺を呼ぶ。甘寧。てめえの名前がちょっといい感じに聞こえる。
明日は行くか。
自然とそう決まって、決めたら腹も減ってきて、俺は無事マトモな生活に戻った。
朝、いつも通り着崩して、遅刻ギリギリの時間に登校した。廊下の途中で呂蒙に会えた。
「甘寧。おはよう。今日は来たか」
「おう、おっさん!心配しすぎてまた老けたんじゃねえか?」
俺は気恥ずかしいのもあってこんな可愛くねーことしか言えない。まあ、いつも通りには出来てっか。
呂蒙は呆れたように笑ってから俺のゴワついた髪を撫でた。細めた目の奥の瞳とかち合う。
「まったく、こっちの気も知らんで」
やっべ、心臓死んだ。
おっさんは引き続き笑って俺の頭を撫でている。
「まあ、元気なら何よりだ。それより甘寧、お前の制服はもう少しどうにかならんのか」
「……トーハツ自由の学校で、いちいちうるせえのおっさんくれえだぜ」
「限度というものがあるだろう。パンツ見えてるぞ。あと、俺はおっさんではない!」
やべえ。分かった。これが確信するってことだな。俺ぁおっさんが好きだ。マジで。
「へへっ。おっさんの小言聞くと来たかいあんな。鐘鳴ってるぜ、先生」
「だからおっさんでは……しまった、配るプリントがあるんだった。甘寧も手伝え!」
「げっ、パシりかよ」
学校が楽しいなんて思うようになるとはな。すげえ奴だ。すげえ奴に惚れられて、すっげえ嬉しいと思った。
こん時はだ。