零れ桜に包まれて
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私が現世から尸魂界に戻った時、
外はすっかり春の陽気で
何とも心地の良い晴れの日が続いていたそうだ
尤も、私はその外気すら感じ取れない、
集中治療室にいたのだけれど
行動パターンに誤りは無かった
私を含めた隊士数名の技量に不足は無く、
作戦にも問題は無かった
…しかし順調なのは、途中までだった
捕獲に成功した虚の動きを止める為、昏睡状態に陥らせる麻酔を打ち込むのだが、
その虚の体液が麻酔に反応したことで、予想外の大爆発を引き起こした
咄嗟に回避行動をとったが、逃げ遅れた同僚を庇った私は爆発に巻き込まれ、重傷を負った
熱傷、裂傷、内臓損傷に複雑骨折…応急処置の回道ではその場しのぎにしかならず、
四番隊の集中治療室へ運び込まれた時には、もう手遅れだとも言われていたらしい
それでも何とか、しぶとく生き延びてしまった
内臓の損傷が激しかったせいで、女性としての機能も果たさなくなった
まあ、そのおかげで結婚も破談になったのだけど
妻としての役割を果たせない、足手まといはいらないらしい
見舞いに来てくれた両親も、私の姿を見て絶句した後、激昂していた
借金の肩代わりの話も当然無くなり、絶望からの怒りをぶつけられるのは仕方無い
尤も、包帯だらけで顔もほとんど見えない状態でベッドに横たわる娘に
「勘当だ!」と怒鳴り散らす親なんて、
例え後から謝られたとしてもこちらから願い下げだけど
優秀な四番隊の方々の懸命な治療により、怪我の治りも随分と早いようだった
が、完治は難しいだろうと言われているこの体で、死神として復帰するのは無理だろう
他所で働くにしても障害が大き過ぎる
漸く、家との縁が切れるというのに、
私には命以外何も残されていなかった
…技術開発局で常時募集している被験体としてなら、もしかしたら
健康体ではないから試薬は限られるが、
少なくとも虚から攻撃を受けたサンプルとしては貢献できるかもしれない
そうしたら、また、
隊長のお役に立てるかもしれない…
個室の窓からは、遠くに十二番隊隊舎の一部と、技術開発局が見えた
懸命なリハビリの甲斐あって、少しの間なら自力で上体を起こす事が出来るようになった私は、
体力の続く限り一日に何度も外を眺めていた
歩けるようになったら、絶対あの場所へ行くんだ
それだけが、私が今生きる為の活力…
ひらりひらりと、
桜の花びらが青空に舞っているのが見えた
.
