赤きヒヤシンスを贈られし君へ
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「おかえり」
『…』
ぼんやりとしながら廊下を歩いていれば、前方から阿近副隊長がこちらに向かってきていた。
先程の文句の一つでも言ってやろうと思ったけど、上手く言葉出てこない。
困惑していると副隊長はニヤニヤとしながら、未だに赤く腫れている腕を見せて言った。
「何で隊長は俺の腕を叩き落したと思う?」
『業務中にふざけていたからでは?』
「じゃあ何でお前だけ連れ出されたと思う?」
『それは…私は手が焼けるから…?』
涅隊長に言われたことを思い返しながら問いに答えれば、
副隊長は首を横に振って呆れたように笑う。
「俺はその場にいなかったからなーんにも知らないが、
お前が隊長に言われたことを思い出してちゃんと考えれば分かるはずだ」
少し休憩な、とそのまま喫煙所へ向かっていった副隊長。
私はそれを見送りながら、局長室での事を思い返す。
阿近副隊長と浦原さんの事を男として好きか聞かれた。
否と答えたら隊長は安心したようだった。
何かあったら副隊長では無く隊長を頼るように言われた。
頭を撫でられた。
抱き締められた。
金色の瞳で見つめられた。
…隊長の瞳ってあんなに綺麗だったんだな…。
『!?!?』
そう思い出した途端に、私は全身が熱くなるのを感じた。
何故だか分からないけど、隊長に見つめられた事を思い出すと、恥ずかしくて堪らない。
もっとあの優しい眼差しを受けていたかった、なんて変な考えまで沸き起こってしまう。
私は一体、どうしてしまったのか。
きっと副隊長は知っている。
知っていながらもわざと知らないふりをして面白がっているのだ。悪趣味な男!
この現象が一体何なのか問いただしてやる!と
半ば無理矢理恥ずかしさを副隊長への怒りで誤魔化しながら、
私は熱持った頬を手で隠しつつ喫煙所へと歩みを進めた。
end