【再録】中原中也を知っているか




 波の音が静かに寄せていた。
 腕に抱き締めたのは、冷たくなった相棒の体だ。
 ぼやけた意識のまま、その事実だけをただ呆然と認識する。

「嗚呼、また死ねなかった――」
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