【再録】ヤツらの交際事情について
相対している蜂型の幻獣は遠隔での攻撃を仕掛けてきている。速攻のできるトルーパーを呼ぼう、後は万一毒を仕掛けられたときのために、状態異常の回復できるメギドを。
イメージを固めて、ソロモンの指輪を虚空に翳す。
「きてくれ、フラウロス、アンドラス——‼︎」
ただちょっと、想定外だったのは。
「ふ、二人ともどうしたんだ?」
現れた二人の姿を見て驚いた。普段複数人を呼ぶときは別々に光るものだったが、呼んだフラウロスとアンドラスはくんずほぐれつの体勢で密着して地面に倒れ込んでいる。
この二人、そんなに仲良かったっけ。
まさかまた解剖しようとしてるとかじゃないだろうな……。
少し動向を伺っていると、アンドラスがイキイキツヤツヤとしていて、それにしがみつかれたフラウロスがぐったりしている。なんだかアンドラスの服が皺くちゃになっているが、揉み合いでもしていたのだろうか。
フラウロスも普段着だが、皺になるだけの布がない。
そして二人とも、召喚されていることに気づいた。
「ああ。やあ、ソロモン」
「クソヴィータッ。た……助けろっ」
フラウロスがそんなこと言うの珍しいなあ。
やっぱり解剖されてないか? いやでも、別に……拘束されてるとかじゃないみたいだしな……。
「な、フラウロス、楽しかったよな? またしたいな」
「う、うるせー……!」
でも別に嫌がってないみたいな感じだ。
二人を引き剥がすか迷ったが、これなら大丈夫か、と腕を組む。少し様子を見ようかな。
喧嘩するようなら、配置を別にすればいいし。
「で、とりあえず、二人とも戦闘いけるか……?」
二人は揃って顔を見合わせた後、アンドラスはうっとりとした調子で、フラウロスは叫ぶように、「十秒ほど待て」という旨を告げた。
おわり
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