祠を壊した私が助かる方法が妊娠する事だった件。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
坂下ゆめは、現在進行形で恐怖していた。顔どころか、唇まで真っ青だし震えているお陰でカチカチと歯が鳴っている。そしてゆめの目の前には、見るも無惨に、バラバラと崩れ去った古い祠があった。
「嘘っ!?うそうそうそうそっ!!
今、私…ッ、ちが…っ、少しよろめいただけだもんっ!転ばない様に手を伸ばしたら…っ、わざとじゃないもんっ!!」
最早、誰に向かって話して居るのか分からないくらいにゆめは混乱し、そして恐怖していた。最近SNSでも話題になっていたがあんなものはただの創作だと思っていた。けれど、だ。…あの崩れた祠の横にユラユラと人影が見える。まるで真夏の陽炎の様に揺らめく…長い髪の人影。
ー違う違う違うっ!!幽霊なんて、非科学的な事なんて信じない!それにわざと壊したわけじゃないし、こんな所に祠があるなんて知らなかった。
ゆめは、腰が抜けてその場に座り込む。ぶんぶんと大きく首を振って顔を上げた時だった。息が、止まるかと思った。直ぐ、目の前…自分の顔と触れ合うほどに近い部分に長く垂れる黒髪が靡いていた。顔は見えない。けれど、その吐息すら届く様なそんな距離感で…
「〜〜ひっ、い、ぁ…っ…」
あまりの恐怖にゆめは、じょろじょろと失禁してしまう。下着が濡れる。けれど、そんな事に構っている暇もない。逃げなければ、と思えば思うほど焦って上手く身体が動かない。ググッと目の前の頭が動く、それと同時に白い首にはっきりと見える赤黒い“索条痕”が良く見える。
「ひぃ…っ!?」
白い手がぬっ、と現れて目を逸らそうとするゆめの顎を軽く掴んだ。祠から出てきたその人の様な者は、酷く美しい見た目をしていた。男なのか女なのか分からない中性的な顔立ちをし、雪のように白い肌に、血の様に赤い唇、なによりも細くスラリとした首にくっきり残る縄の赤黒い痕が得体の知れない何かの恐怖を更に煽っていた。
「あ…っ!?」
ドサリ、とそれに馬乗りになられる。そう、“馬乗り”になられたのだ。恐ろしい事に、それにはしっかりとした実体はない筈なのに(陽炎の様に今もその下半身はユラユラしている)確かな重さを持ってゆめの上に乗り上げているのだ。
「〜〜ッごめんなさいっ、ごめんなさいっ、許して下さいっ!!あなたのお家を壊すつもりじゃ無かったんです!!」
懸命にゆめが伝えるも、目の前の幽霊は黙ったままだ。まるで氷のように冷たい手がゆめの頬を撫でた。まるで生きている人間の温もりを求めるように霊の手がゆっくり頬から首筋を伝う。
ーや…っ、もしかして首を絞められて呪い殺されるとか!?やだよぉ〜!!まだ死にたくないよぉ!!やだ、こわい…!
ブルブルと震えているゆめの身体が優しく抱き締められて彼女は恐る恐る目を開く。そこには、優しげな青年の顔があった。何か言いたげにこちらを見ている。
「あ…っ」
彼の瞳を見た瞬間に、ゆめは金縛りに掛かったように動けなくなる。青年の冷たい唇が、優しくゆめの唇を奪った。
「んッ…んん、ぁ、はぁ…っあ、ん、ンンンンッ♡」
くちゅっ♡ちゅ♡…ちゅくっ♡…
冷たい舌が、差し入れられてそのままくちゅくちゅと口内を荒らされる。そのうち、服の隙間から入り込んだ手がゆめのブラジャーを押し上げて胸を揉んで来る。
「〜〜っ、は、ぁ、ん…ッ♡んっ♡♡」
冷たい手に肌が粟立つけれど、胸を持ち上げられて、胸の先を親指と人差し指でクリクリと撫で上げられ摘まれると、ひぅっ♡♡と声が漏れた。抵抗出来ない。身体は金縛り状態から変わらず舌を吸われる行為は続いている。
「んぅ…っ♡あっ♡んぅ〜ッ♡♡だ、め…っ」
乳首の先がカリカリと爪で引っかかれる。指の腹で押し潰されて、愛撫されている。
「〜〜ッ、や、ぁ…っ、や、めて…くださ…っ♡んんっ♡あぅ…!?」
この行為の意味が分からない。霊や怪異と呼ばれる存在にも性欲があるんだろうか。ただ、事故で祠を壊しただけなのにとんでもない事になってしまった。困惑と、快楽の中でゆめは、肩を竦める。
「ふぅっ♡♡♡んんっ…♡んっ♡んぅ…♡♡ぁうっ♡おっぱぃ、おっぱい、やだぁ…っ♡ひぅっ!?」
足が、大きく開かされた。足の間に誰かの気配がする。上着の端から大きく胸まで服が捲られる。既に、ブラジャーはたくし上げられているから、白くて柔らかな胸の膨らみが見えてしまっている。
「やっ、やぁ…♡♡やめっ♡やめて…っ♡ごめんなさいっ、謝るから…っ♡えっちなことしないで…っ!!ひっ、ぃいい〜〜ッ!!」
足の間に入れられて、失禁してぐっしょり汚れた下着の上から硬いものがグリグリと押し当てられる。それと同時にキスで温められた唇にゆめの乳首がかぷっと食べられた。
「ン゙ぅン゙ン゙ン゙〜〜ッ♡♡♡」
相変わらず身体は動かない。それを良い事に目の前の男はゆめの身体をいい様に辱めるのだ。
ーだめっ、こんなの、だめ、なのにぃッ…からだが…っむねっ、ねっとり吸われてるっ…ちゅぅゔぅ〜ッ♡♡って!吸われるたびに、おまんこ疼いちゃうっ…膝で?濡れ濡れおまんこ、押し上げないで…っクリにも当たっちゃうよっ!気持ち良くなっちゃうよぉっ!!
「〜〜やぁあああっ♡♡♡ごめっ♡ごめんなしゃ…っ♡♡あやまりましゅっ♡あやまりましゅからぁっ♡♡ちくびっ♡ちくび、いじらにゃいでっ♡おまんこっ♡グリグリしにゃいで、ぐたしゃぃい〜〜ッ♡♡イくっ♡イきましゅっ♡♡ゆうれいさんにっ♡ちくびもっ♡おまんこもっ♡♡いじめられてっイっちゃぃますぅ〜〜ッ♡♡」
身体を大きく突っ張らせ、ガクガクと腰を震わせながらゆめは表情をトロトロに溶けさせて呆気なく達した。目の前がチカチカしていてゆめは、切なげに目を細める。
「あっ、あぅ…っ♡ひ、ぃ…っ!」
スルリ、と濡れて割れ目に張り付いた下着が引っ張られて、ゆめは咄嗟に腰を浮かせてその動作を手伝えばスルスルと詰まりなく、ゆめの下着を脱がせてしまった。
こんな、誰も居ないとは言え、白昼堂々森の中、幽霊と野外セックスしている。それはゆめにとってもかなりアブノーマルな体験と言える。
ーああっ、私のおまんこ、凄く濡れてるっ♡入り口のパクパク止まらないよぉ…っ♡怖いのに、ダメなのに、凄く興奮してっ、早く続きをしてほしくなっちゃってるの!!どうしよう…、どうしたら…っ
「んぁ…っ!?」
くちゅりッ♡♡♡と音がして、ゆめの蜜口に指が二本も捩じ込まれる。キツキツになった膣が、思わず彼の指をぎゅう〜〜、と締め付けた。
「ふ…っ♡ぅっ♡ああっ♡♡ナカっ、ゆび…っ♡♡ひ、ぃ…っ♡♡」
ぬちゅっ♡ぬちゅっ♡ぐちゅっ♡♡
熱いゆめの膣の中を、冷たい指が侵入する。まるでゆめの中を確かめるように入口から一番奥の子宮口までを何度も往復される。
「ンンンッ♡♡♡ンゔぅうぅう〜〜ッ♡♡♡ゆびっ♡ゆび、ながぃい〜〜ッ♡♡おくっ♡おくっとどいちゃうッ♡♡や、ら…っ♡♡ぁ、ぉお〜〜ッ♡♡♡」
只、指が前後されるだけなのに、酷く感じてしまう。ドロリと蕩けた蜜が、じゅわじゅわと奥から溢れてくる。冷たかった筈の男の指が、ゆめの体温と摩擦で温くなる。
ーああっ♡本当はもっと、もっと激しく動かして欲しいよっ♡お腹の中、キュンキュンしてっ気持ちいいの足りないっ♡足りないよぉっ♡♡
「〜〜っ♡は、ぁ…っ♡♡もっ、と…♡もっと、はげしくっ♡してくだしゃ…っ♡♡おか、して…っもっとゆびでっ♡はげしくしてぇ〜〜ッ♡♡♡」
ゆめの言葉を理解したのか、単調な中の動きが変わる。ぐりゅっ♡ぐりゅっ♡♡と中で指が回転されて、ゆめの膣の狭さを広げるように、二本の指がバラバラに動かされる。それは正にゆめが望んだ通りの快感だった。
「んぃい〜〜ッ♡♡♡しゅごいっ♡なか、ゆびっきもちぃいっ♡♡♡あ゙おッ♡♡ぐちゅぐちゅっ♡ぐちゅぐちゅしゅごぃい〜〜ッ♡♡♡きもち…ッ♡きもひ、ぃいっ♡♡」
ビクン、ビクンッ♡と身体が跳ねる。差し入れられた人差し指と中指でゾリゾリと、膣の天井を撫でられる。既に快感で、ビンビンに勃起したクリトリスが男の親指で撫で回されるとゆめは、足を突っ張って、男の指に、そこを擦り付けるように腰を振る。
「〜〜ッ♡私のおまんこっ、喜んでりゅっ♡天井、ゾリゾリされてっ、クリも指で一緒にされてるっ♡クリ、裏から押し上げられてるからっ♡皮、剥けちゃってるっ♡ずる剥けクリっ、ゆぅ、れぇさんのゆびでっぐりぐりしゅごぃい〜〜ッ♡♡♡イくっ♡イっちゃうよぉお♡」
頭の中が真っ白になる。指に擦り付けている腰がガクガクとはしたなく腰を振って私は直ぐに達してしまった。
ぷしゅっ♡ぴゅ〜〜ッ♡♡と私の尿道から透明な潮が吹き出す。
「あ〜〜ッ♡ゔぁああ゙ッ♡♡♡」
快楽で、位置を降ろした子宮口を、男の指がグリグリと押し上げる。その度に押し殺された短い声が、私の喉から溢れる。夢だ、きっとこれは夢。…だって、こんな事が実際に起こる筈ない。出会ってから、一度も声すら発しない、幽霊だ。今だに身体は透けている。
「あ゙あ゙っ♡そこ…っ♡そこ、きもちぃいっ♡♡おしるっとまらにゃいっ♡♡♡とまら、にゃいのぉおっ♡」
ポタポタと、いやらしいねっとりとした愛液が、蜜口から溢れて、お尻まで伝って行く。くちゅっ♡とぬれぬれの蜜口に男の硬い肉棒の先が当てがわれる。小刻みに揺れる身体が、男の興奮を物語って居るようだった。当てがわれたガチガチのペニスが、ゆっくりとゆめの中へズブズブと押入れられて行く。
「〜〜っ♡ひ…っいぁ♡あ…っ♡あっ♡んぅゔ〜っ♡♡」
ひんやりとした身体がゆめを包み込み、ぐじゅっ♡じゅぷぷ…ッ♡♡♡と奥に進む度に押し出された愛液が地面に溢れ落ちる。
「ひぅッ♡ぅ、ああ゙っ♡♡きてるっ♡き、ちゃってるぅゔ〜〜ッ♡♡♡ガチガチ、おちんちんっ、きてるぅう〜〜ッ♡♡♡♡」
硬くて、冷たいペニスがぐぼっ♡♡と酷い音を立てて、ナカを開いて行く。ぐぽぐぽと深い部分にペニスが食い込む度に、身体が震え、乳首とクリトリスが構って欲しそうにピン、と上を向いている。
「あ゙お゙ぉおおぉお〜〜ッ♡♡♡」
ゴチュンッ♡♡♡と太い亀頭が、ゆめの敏感な子宮口へと到達する。そのまま、ゆさゆさとゆめの身体が揺さぶられ始めて、ピン、と勃起した乳首が口に含まれて、どちゅっ♡どちゅっ♡♡と突き上げられながらもう片方の手でクリをグリグリと刺激される。
「ぁお゙ぉっ♡♡ぜんぶっ♡ぜんぶ、だめっ♡♡乳首もっ、クリも、気持ち良くされてりゅっ♡♡だめっ♡だめなのぉお〜〜ッ♡♡♡」
ぷしっ♡ぷしっ♡♡と短く潮を吹く。遂に、得体の知れない“何か”に犯されてしまった。それも深く、ゆめの一番弱い所を、だ。
やだやだやだっ♡嫌なのにっ♡♡きもち、いいっ♡凄いっ♡おっきいおちんちんっ♡太いのでお腹いっぱいになってるっ♡それがどちゅっ♡どちゅっ♡♡って乱暴に奥突いて来て、ちくびもっ♡クリも…っ♡あいぶされてっ頭、飛んじゃうっ♡♡
「やぁああ゙ぁあ〜〜ッ♡♡♡もっ、ほんとに…っ♡だめっ…♡♡ぽるちおっ、とんとん…っされてりゅっ♡そこっ…ッ♡そこ、弱いのぉお〜ッ♡♡♡」
“ずちゅッ♡ずちゅっ♡♡トンッ♡トンッ♡ちぅ♡ちゅぅう〜〜っ♡♡クリクリクリッ♡♡♡”
全部気持ち良い。ナカも、ポルチオも、乳首も、クリもこんな、場所なのに…っ♡外で、幽霊に犯されるなんてあっちゃダメなのに…っ♡♡もう、止まらない。
「〜〜ッぁあ゙あ゙ぁ♡♡♡イくっ♡イぐぅゔぅッ♡♡イッちゃったのッ♡♡イぐのッ♡とまらにゃいのぉ〜〜ッ♡♡イグイグイグイグぅゔ〜〜ッぉほぉお゙ッ♡♡♡」
ガクガクと全身を震わせながら、浅ましい腰ヘコダンスが止まらない。その間も、ポルチオは、ぐちゅっ♡ぐちゅっ♡♡って濃厚キスされて、深イキ止まらないし、歯で乳首甘噛みされて、クリに爪を立てられて尿道からおしっこみたいな潮が吹き出す。
「んぉおお゙ぉッ♡♡♡だめっ♡だめっ♡だめぇえ〜っ♡♡おかしぐっ♡おがしぐなっ、ちゃぅゔ〜ッ♡♡もっ♡きもちが、いいのダメッ♡♡ひぐっ♡ぅあッ♡あ゙ぁ〜〜ッ♡♡♡」
またビシャッ♡ビシャァアアアッ♡♡と大量の潮が地面を濡らす。潮吹きがクセになってしまいそうで怖い。ずっとイかされてるっ♡終わりが全然見えない。薄らと透けて見える彼の顔は涼しげで、私だけが身も世もなく鳴かされ続けている。
「もっ♡もぉっ♡♡も、ゆるしてぇ♡♡♡イくのやだっ♡も、イけにゃぃッ♡♡イかせるのだめっ♡♡だめっ♡にゃの、にぃい〜〜っ♡♡♡おねがっ、もっ♡イって!!おわりにっ♡おわりにしてぇえ〜ッ♡♡♡」
一生懸命ナカをぎゅうぎゅうと締め付ける。犯され続けた膣も、弄られ続けた乳首やクリももう真っ赤で腫れぼったくなっていてピリピリし始めて居た。このままじゃ死ぬっ、殺される、その恐怖もあって、残りの力を振り絞って腰を振りながら締め付けるとややあって奥にびちゃびちゃっ♡♡♡と熱いものが注がれる。
「は…っ、あぁうぅ〜〜っ♡♡♡」
ズルリと自分の中から出て行くその感覚に、ホッとしたのをぼんやりと覚えている。けれど意識があったのはそこまででそこから私の意識はすっかり無くなってしまった。
****
気が付いたら、そこはあの祠のあった場所だった。まだあの祠が崩れて居なかったから、今見ているものが夢なんだって分かった。あの祠の前に男の子が居た。手には太いロープ。顔も身体も痣だらけで…その男の子は、祠の出っ張った部分にロープを括りつける。だらん、と垂れた首吊り用のロープ、そこに彼は首を自ら差し入れた。見たくない、こんな光景は、見たくないのにっ、
「〜〜ッ、ダメっ!死なないでっ!!」
私が伸ばした手は、言葉は、彼には届かない。掛けられたロープ。そのまま諦めたように吐き出された吐息、そして…私の視界は暗転した。
「おいっ、しっかりしろっ!!」
大きな声にびっくりして私は飛び起きた。さっきの夢が衝撃的過ぎて、私は声もなくポロポロと泣いてしまっていた。心が痛い。涙が、止まらない。
「何があったんだ、ゆめっ!!」
「え…?」
自分の名前を呼ばれて始めて、私はやっと我に返った。目の前の天井には、小さな裸電球。そして…
「…え、あれ?わ、たし…か、えでさん?」
「…やっと目を覚ました、か。そうだ、オレだ。良かった、とりあえずは戻ってこれたんだな。気分はどうだ?まぁ…あんまり良くはないと思うが。」
お前、酷い顔色してんぞ。と声を掛けられる。彼は、|新宮時《しんぐうじ》|楓《かえで》で元々は先祖代々この神社の神主をしている家系の由緒正しき長男だったりする。元々は、私と楓さんのお父さんが親友で、昔から家族ぐるみで親交もあったから彼とも見知った仲だ。
「それで、お前…何やらかした?エグいの憑いてんぞ。しかも、ちょっとやそっとじゃ祓えそうもない奴。そんなもんどこでくっ付けて来やがった。」
楓さんは、リラックスする為なのか近くに置いてあった煙草の箱からそれを一本手に取り口に咥えて火を着ける。たったそれだけなのに嫌味なくらいに様になる。
「…楓さん、ここで吸ったらおじさんに叱られませんか?」
「良いんだよ、親父は京都のなんとか、って言う神社に出張中。…無理矢理オレが代理させられてる時に変なもんに魅入られてんじゃねぇよ。」
苛立たしげに私の顔に向けて、煙が吹きかけられて私は思わずケホケホと咽こむ。いつもは気にならないのに、今はその独特の匂いが嫌で私は眉を顰める。楓さんは神社の跡取りではあるけれど素行は良くない。神主になんかなりたくない、とおじさんと何度も何度も揉めているのを見た。
「…あの、楓さん…怒らないで下さいね。」
「事と次第と内容による。」
ブスっとする楓さんにビクビクしながら、私は大学で出された課題の為に、祠を見に行って故意ではないとは言え、その祠を壊してしまった事、そしてそこから出て来た何者かに襲われ、金縛りにあった事を伝えた。
「あーー、それで…、そいつが…ん〜〜」
楓さんは、私の話を聞くとあー、とかうーとか短く呻いていた。それで一頻り呻くとちょっと待ってろ、と言って隣から手鏡を持って来て、私の首元を映した。
「見えるか?ソレ…」
「〜〜っ、はい。楓さん、これって…」
「索条痕…アイツがつけていったんだろう。お前への目印に。…お前、多分このままじゃ死ぬ。」
楓さんの言葉に私は息を飲んだ。薄らと首元にグルリと一周するロープの痕。楓さん曰く彼が私を選んだ印らしい。
「…多分、その痕。これからどんどん濃くなって行く。お前が、少しずつ食われて、アッチに持って行かれる。多分、猶予もそこまでない。保って一週間か、下手したら五日だな。」
「〜〜っ、そんな!私、死ぬなんて…っ」
とても信じられない。こんなに健康で、元気なのに一週間後に死ぬ、と言われて納得出来る人なんか絶対に居ない筈だ。こんな事、他の誰にも相談出来る訳もない。
「いや、絶対、嫌ですっ!そんな、だって私…悪い事なんて…あれは事故で…壊すつもりなんて…」
無かったんだもん、と言葉が溢れる。こんな事絶対に認められない。何か助かる方法は無いのか…。私は、最後の頼みの綱である楓さんをジッと見る。
「…そいつの呪いが強力過ぎてオレには祓えない。多分、ここで親父や他の奴らを介入させてもいいとこ時間切れか、お前に憑いてるソレがキレて抵抗もさせずに連れてくだろうな。」
「〜〜私、このまま死ぬって事ですか??そんな」
「そこで、だ…ゆめ、決定権はお前にあるんだが。ソイツに取り殺されるか、オレの嫁になるかどっちか選べ。悩んでるヒマはねぇから即決しろ。」
楓さんの言葉に私は目を見開いた。どういう事か意味が分からない。私が、楓さんと結婚する事がなぜ、私が助かる事に繋がるのか全然分からない。けれどこれが冗談でも、何でもない事だけは分かる。
「…それで、本当に私は助かるんですか?」
「オレの考えが正しければ、な。」
「〜〜っ、そんなの…二択にもなってない、ですよ。これで死んだら絶対楓さんの事恨みますよっ!?」
「そん時は、オレも一緒に逝ってやるよ。」
楓さんの声は、やけにしっかりとしていた。まるで、彼自身も覚悟を決めたみたいに。良いんだな、と念を押すように聞かれた私は、はい、と小さく頷いた。
next.