元最推し配信者シリーズ
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『元最推し配信者に粘着されて 監禁され裏垢で調教されている所をネット配信されています。』
俺の名前は晃。須藤晃(スドウ アキラ)しがないネット配信者だ。
大学に入ってから勉強の片手間と寂しさを紛らわす為に配信者としてネット配信を始めた。
昔からちょっと人より声が低くて、良く腹に響く良い声だって言われてたから軽いノリでやってた。
勿論、最初は4、5人来れば良い方で自分もそこまで熱くはなってなかった。その内、俺の声を気に入ってくれたリスナーさんがポツポツと出始めた。その中でもポケさんは、良くコメントをくれる人だった。
“Akira君の声は最高に癒される。”
“疲れて帰って来て君の声を聞いたら仕事頑張って良かったって思う。”
“Akira君、風邪?今日声の調子おかしいよ?配信やめて休んだ方がいいよ”
ポケさんはそんな風に俺の事も気遣ってくれる凄く良い人で、俺はそんなポケちゃんのコメントを読むのが段々楽しみになった。SNSもやり始めた。俺の配信が伸びたり、フォロワー数が伸びるとポケちゃんは自分の事みたいに喜んでお祝いのコメントやメッセージをくれた。
彼女のSNSは俺の事や、配信の日程の引用記事、配信の感想で溢れていて俺はますますそんな彼女の事が大好きになっていった。どんな人なのか凄く気になる。出来る事なら会ってみたい。そんな風に思うようになった。
『なぁ、偶には飲みに顔出せよ。お前が来ると女の子たちも盛り上がるし…。』
飲みと言う名の合コンで、性格はともかく顔と声が悪くない俺は差し詰め客寄せパンダだ。基本的には配信を休みたくなくて断るけれど学内で浮かない程度には顔出ししておいた方が良いわけで5回に一回は顔出しする様にしてる。
(今日、配信出来ないって呟いとこう。)
全く興味もない奴らと無駄な飲み会に参加した。内心早く帰りたくて堪らなかった時、フォロワーであるポケちゃんの呟きが目に入った。
(Akiraも飲み会かぁ、実は私も今日は会社の飲み。本当は行きたくない。このお金は、Akiraに貢ぎたい〜!)
そんな彼女の呟きに他の最古参たちがリプしている。
『晃〜!スマホばっか弄ってないで話せよ、何かさぁ…本当に顔だけだよな。お前…』
なんてそっちから誘って来たくせにそんな事を言うのだから堪らない。急遽、スマホを持ってトイレに緊急避難したときだった。トイレ前の狭い通路で綺麗な女の人とぶつかった。その時、彼女のスマホが俺の足元に転がって来て俺はそれを手に取った。
画面はSNS。そこには、さっきまでずっと見ていた彼女のSNS画面が写っていた。
(えっ、嘘!?この人ポケちゃん!?)
慌てて彼女のスマホから視線を逸らしながらスマホを返した。すると彼女はすみません、と頭を下げながらニコッとこちらに微笑んでくれる。
(凄く、笑顔が可愛い!!)
画面の中の存在だったポケちゃんが急に身近な人になって行くのが自分でも分かった。トイレに入って急いでSNSを確認した。すると…
(さっき、凄いイケメンとぶつかってスマホ落としちゃった。拾ってくれたの大学生かな??少し得した気分だけど、スマホが無事で良かった…)
そう呟かれて居るのが確認出来て、俺はその後席に戻ってからもチラチラと彼女の姿を探してしまっていた。
(…この店のパン屋、俺も良く行くとこだ。)
(店のランチ…場所どこかわかるかな?)
俺はあの日以来、くまなく彼女の投稿を見る様になった。彼女が良く行く店のランチ、お気に入りのパン屋、お気に入りの散歩コース、家の近くのコンビニ。こんなのは良くないと思っていた。これじゃ只のストーカーだ。だけど、もう止まらなかった。実際の“彼女”を認識してから、もう一度顔が見たい、少しで良いから声が聴きたい。そんな歪んだ欲望に抗えなかった。
(あれ?ポケちゃん……今日、来てくれてない?)
(最近、仕事忙しい?あんまり俺の事も呟いてくれない)
(彼女のコメントが付いたのいつ?もう二週間も前?)
(何で?あんなに俺の事好きって言ってくれたのに??)
(コメントが付かない。呟きもない。どうしてどうしてどうしてどうしてどうして???こんなに配信頑張ってるのに、フォロワーも増えたのに褒めてくれない。喜んでくれない。コメントもくれない。俺を見てもくれない。なんでなんでなんでなんで???)
『ねぇ、ポケちゃん。俺の事飽きちゃったの?』
だったらもう良いや。配信なんかしない、ポケちゃんが見てくれないなら意味ない。寂しい。つまらない。辛い。悲しい。一言でも良いから、貴女からの反応が欲しい。
“ピロリン”
SNSの通知画面。見慣れたアイコンがそこに映し出される。古参フォロワーたちが次々にコメントしている。その中の一つに目が奪われる。
『ポケちゃん、最推し変わったの??』
『えへへ、実はそうなの。今、その子に夢中で…私の大好きなスマホゲーの実況してくれてて、ついそっちに行ってて…』
『あー、なるほどね。ポケちゃんゲーム好きだもんね。でもAkiraもポケちゃんが配信最近来てくれないなぁって言ってたから偶には来てあげてよ〜!!』
『分かったよ!今、ゲームの大型イベント中だからこの期間終わったらまたラジオ聞きに行く!!』
スマホ画面を見つめながら俺の心にピシピシとヒビが入って行くのが分かる。冷たい目でスマホを握りながら俺はソレを床に叩きつけた。
『へぇ、そうなんだ。ポケちゃん、俺より好きなヤツが出来たんだ。ゲーム実況者?誰それ?知らないんだけど…ポケちゃん、良い人だからきっと騙されてるんだよね?絶対そう。』
俺が目を覚まさせてあげなきゃ。
また俺が一番だって言って貰うんだ。その為には…もっともっと、頑張らなきゃ。
end.
俺の名前は晃。須藤晃(スドウ アキラ)しがないネット配信者だ。
大学に入ってから勉強の片手間と寂しさを紛らわす為に配信者としてネット配信を始めた。
昔からちょっと人より声が低くて、良く腹に響く良い声だって言われてたから軽いノリでやってた。
勿論、最初は4、5人来れば良い方で自分もそこまで熱くはなってなかった。その内、俺の声を気に入ってくれたリスナーさんがポツポツと出始めた。その中でもポケさんは、良くコメントをくれる人だった。
“Akira君の声は最高に癒される。”
“疲れて帰って来て君の声を聞いたら仕事頑張って良かったって思う。”
“Akira君、風邪?今日声の調子おかしいよ?配信やめて休んだ方がいいよ”
ポケさんはそんな風に俺の事も気遣ってくれる凄く良い人で、俺はそんなポケちゃんのコメントを読むのが段々楽しみになった。SNSもやり始めた。俺の配信が伸びたり、フォロワー数が伸びるとポケちゃんは自分の事みたいに喜んでお祝いのコメントやメッセージをくれた。
彼女のSNSは俺の事や、配信の日程の引用記事、配信の感想で溢れていて俺はますますそんな彼女の事が大好きになっていった。どんな人なのか凄く気になる。出来る事なら会ってみたい。そんな風に思うようになった。
『なぁ、偶には飲みに顔出せよ。お前が来ると女の子たちも盛り上がるし…。』
飲みと言う名の合コンで、性格はともかく顔と声が悪くない俺は差し詰め客寄せパンダだ。基本的には配信を休みたくなくて断るけれど学内で浮かない程度には顔出ししておいた方が良いわけで5回に一回は顔出しする様にしてる。
(今日、配信出来ないって呟いとこう。)
全く興味もない奴らと無駄な飲み会に参加した。内心早く帰りたくて堪らなかった時、フォロワーであるポケちゃんの呟きが目に入った。
(Akiraも飲み会かぁ、実は私も今日は会社の飲み。本当は行きたくない。このお金は、Akiraに貢ぎたい〜!)
そんな彼女の呟きに他の最古参たちがリプしている。
『晃〜!スマホばっか弄ってないで話せよ、何かさぁ…本当に顔だけだよな。お前…』
なんてそっちから誘って来たくせにそんな事を言うのだから堪らない。急遽、スマホを持ってトイレに緊急避難したときだった。トイレ前の狭い通路で綺麗な女の人とぶつかった。その時、彼女のスマホが俺の足元に転がって来て俺はそれを手に取った。
画面はSNS。そこには、さっきまでずっと見ていた彼女のSNS画面が写っていた。
(えっ、嘘!?この人ポケちゃん!?)
慌てて彼女のスマホから視線を逸らしながらスマホを返した。すると彼女はすみません、と頭を下げながらニコッとこちらに微笑んでくれる。
(凄く、笑顔が可愛い!!)
画面の中の存在だったポケちゃんが急に身近な人になって行くのが自分でも分かった。トイレに入って急いでSNSを確認した。すると…
(さっき、凄いイケメンとぶつかってスマホ落としちゃった。拾ってくれたの大学生かな??少し得した気分だけど、スマホが無事で良かった…)
そう呟かれて居るのが確認出来て、俺はその後席に戻ってからもチラチラと彼女の姿を探してしまっていた。
(…この店のパン屋、俺も良く行くとこだ。)
(店のランチ…場所どこかわかるかな?)
俺はあの日以来、くまなく彼女の投稿を見る様になった。彼女が良く行く店のランチ、お気に入りのパン屋、お気に入りの散歩コース、家の近くのコンビニ。こんなのは良くないと思っていた。これじゃ只のストーカーだ。だけど、もう止まらなかった。実際の“彼女”を認識してから、もう一度顔が見たい、少しで良いから声が聴きたい。そんな歪んだ欲望に抗えなかった。
(あれ?ポケちゃん……今日、来てくれてない?)
(最近、仕事忙しい?あんまり俺の事も呟いてくれない)
(彼女のコメントが付いたのいつ?もう二週間も前?)
(何で?あんなに俺の事好きって言ってくれたのに??)
(コメントが付かない。呟きもない。どうしてどうしてどうしてどうしてどうして???こんなに配信頑張ってるのに、フォロワーも増えたのに褒めてくれない。喜んでくれない。コメントもくれない。俺を見てもくれない。なんでなんでなんでなんで???)
『ねぇ、ポケちゃん。俺の事飽きちゃったの?』
だったらもう良いや。配信なんかしない、ポケちゃんが見てくれないなら意味ない。寂しい。つまらない。辛い。悲しい。一言でも良いから、貴女からの反応が欲しい。
“ピロリン”
SNSの通知画面。見慣れたアイコンがそこに映し出される。古参フォロワーたちが次々にコメントしている。その中の一つに目が奪われる。
『ポケちゃん、最推し変わったの??』
『えへへ、実はそうなの。今、その子に夢中で…私の大好きなスマホゲーの実況してくれてて、ついそっちに行ってて…』
『あー、なるほどね。ポケちゃんゲーム好きだもんね。でもAkiraもポケちゃんが配信最近来てくれないなぁって言ってたから偶には来てあげてよ〜!!』
『分かったよ!今、ゲームの大型イベント中だからこの期間終わったらまたラジオ聞きに行く!!』
スマホ画面を見つめながら俺の心にピシピシとヒビが入って行くのが分かる。冷たい目でスマホを握りながら俺はソレを床に叩きつけた。
『へぇ、そうなんだ。ポケちゃん、俺より好きなヤツが出来たんだ。ゲーム実況者?誰それ?知らないんだけど…ポケちゃん、良い人だからきっと騙されてるんだよね?絶対そう。』
俺が目を覚まさせてあげなきゃ。
また俺が一番だって言って貰うんだ。その為には…もっともっと、頑張らなきゃ。
end.