待つ人帰る人

【おまけ】

予定より少し遅くなったものの、ケガをした右足も無事完治し、ストームポイントでの開幕戦を迎えたミラージュは、クリプトとワットソンと同じ部隊になった。
だがどうも二人の様子がおかしい。
ワットソンはいつぞやのようにクリプトに冷たく、クリプトは腫れ物に触るようにワットソンに接している。
彼女が離れた場所でフェンスを設置している隙を見て、ミラージュはクリプトに小声で話し掛けた。
「……おい、どうなってんだ? お前らとっくに仲直りしたはずだろ? またケンカでもしたのか?」
「……お前のせいだぞ」
クリプトは恨めしげな三白眼でミラージュを睨んだ。
「俺の? なんでだ?」
「あの後、ナタリーと二人でマーヴィンのプログラムを見直すことにしたんだ。その時、やつのメモリに入っていた例の映像を、ナタリーが見てしまった。……彼女はめちゃくちゃ怒っていたな……当然の事だが……。俺はまた、ナタリーからの信頼を裏切ってしまったんだ。あんなばか騒ぎに乗っかったせいで……」
虚ろな遠い目をしてワットソンを見つめるクリプトの横で、ミラージュは込み上げる笑いを必死に堪えていた。

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