HANDLE WITH CARE


今朝も朝食の準備を終えたミラージュは、まだ眠っているオクタンを起こしに、ベッドルームへと向かう。
シーツから覗いている、つるつるの頭を見てクスッと笑い、シーツをめくってオクタンの頬に口付けた。
「おはよう、ダーリン。いい朝だぜ?」
オクタンは眩しそうにミラージュを見つめて、「おはよう」と短いキスの後に、わざとらしくムードたっぷりに付け加えた。
「俺のスウィートハート」
ミラージュは、まったく食えねぇやつだ、と眉尻を下げて笑い、
「今日のメニューは和食だぜ」
と言い残して先にダイニングに向かう。
オクタンは、がばりと起き上がって素早く義足を装着すると、ベッドから飛び降りてミラージュの後を追った。
ミソスープのいい香りに自然と顔が綻ぶ。
 
——俺には義足の取り付けも、お姫様抱っこも必要ないぜ。
自分の足で立って、お前と並んで走ることこそが俺にとっての望みなんだ。
今までも、これからも。

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