hermana


ミラージュは病気にかかってる。
病名は、慢性オクタン大好き症候群。
残念ながら、現代医学ではどうすることもできない難病のひとつだ。
あたしの幼なじみであるオクタビオ・シルバと付き合いだしてからというもの、ミラージュは何かにつけてあたしを頼ってくるっていうか、オクタビオに聞きづらいことがあると、何でもあたしに聞いてくる。
例えばあいつの交遊関係だとか、好きな食べ物だとか、指輪のサイズだとか。
幼なじみだからって、何でも知ってる訳じゃないわよ。指輪のサイズなんて、あんたもう結婚する気でいるわけ?
それ以上にやっかいなのは、どうやらあたしが、密かにオクタビオの事を好きなんじゃないかと疑ってることだ。
「あんたは今まで、オクタンの事を男として意識したことはないのか?」
「なんであんないい男が側にいたのに、何事もなかったんだ?」
「オクタンは可愛いだろ? なぁ、そう思わないか?」
もう、面倒くさいなぁ。
可愛いって言えば言ったで、ヤキモチ焼くくせに……。
あんまりしつこいと、オクタビオに言いつけるわよ、と脅すと、ミラージュは叱られたわんこのようにしゅんとなった。
まあ、逆に考えれば、それだけオクタビオが愛されてるってことで、良いことではあるんだけどさ。
「よぉ、エルマナ。調子はどうだ?」
問題の男がのんびりとやってくる。
そしてなんと、こいつはあたしに向かってこう言ったのだ。
「お前、あんまりミラージュに俺のことベラベラ話すんじゃねぇよ」

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