ウィット家の人々


その日の夜のオクタビオは、まるで聖母みたいだった。
抱いているのは俺なのに、優しく抱かれているような不思議な感覚が俺を包み、俺の顔の傷に触れながら何度も唇を這わせて、もっと深くとねだるオクタビオの声は、あいつが背中に爪を立てる痛みすらエクスタシーに変えて俺を犯していく。
ふたりで抱き合うには少し狭い、懐かしい俺の部屋のベッドで、俺たちは飽きることなく、終わりのない快楽に溺れた。
上になり下になり、まるで丘の上から抱き合って、永遠に転がり落ちてるような気がする。
俺を幸福で満たすのはいつもお前なんだ、オクタビオ。
お前だけだ。

翌朝目を覚ますと、雪はもう止んでいて、珍しく俺より先に起きたらしいオクタビオが、穏やかに俺の顔を見つめていた。
「オク……」
こいつがちゃんとそこに居ることに安心した俺は、その細くしなやかな腰まわりに縋り付き、固く引き締まった腹に頬を擦り寄せた。
そうしてないと、どっかに行っちまいそうな気がしたんだ。
「なんだぁ……? 今日もまだ甘えん坊モードなのか? しょうがねぇな、このでっけぇ赤ちゃんは……」
からかうような声とは裏腹に、俺の髪を撫でるオクタビオの手は優しい。
その心地よさに身を委ねながら、俺はもう一度目を閉じた。
「いつだってそうさ。俺は末っ子だからな……」

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