アイドル
親愛なる『ファンのことなんて知ったことか』様へ
よお、オクタビオ。
お前のメールアドレスは高かったぜ。
電話番号も知ってる。でも、電話じゃ出てくれねえんだろ?
何で俺を無視するんだ?
電話してくれって言ったよな?
ミラージュに止められてるのか?
あいつはお前をたぶらかした、最低な野郎だ。
でも、そんなのは大した問題じゃねえ。
問題なのは、お前が俺に連絡をくれないってことだ。何ヵ月もの間、手紙も電話もメールもなにひとつ来やしねえ。
お前は俺のことを助けることができたってのに、それをしなかった。溺れそうな俺を、見て見ぬふりをしたのさ。
それがどんなに俺を打ちのめしているか分かるか?
一本の電話、一通の手紙、それだけで良かったんだ。
愛してたんだ、オクタビオ。俺とお前はひとつになるべきなんだ。
それなのにお前が台無しにしちまった。
俺のことを考えて眠れなくなればいい。
良心が心を蝕んで、お前はその痛みに耐えられなくなって叫ぶだろう。もし、それがあるんならな。
俺がどこに行こうとしてるか分かるか?
天国、楽園。
俺がおまえになるために、ジャマなもんはすべて排除してやる。
お前はお前の一番のファンを失うことになるんだぜ?
ざまあみろ。
彼女がまたギャーギャー言ってる。
あいつ、俺の子供を妊娠したなんて言い出しやがった。
安心しろよ。殺してなんかいないぜ。
俺はお前らとは違うからな。
ちょっと殴って縛っただけさ。俺も少しはこいつに情ってもんがあるからな。
最後くらいは一緒に居てやろうと思うのさ。
じゃあな、オクタビオ。いい夢を。
お前の一番のファンだった男より