アイドル


親愛なるオクタビオへ

カードをありがとう。あんたのサインを貰うのは二度目だ。
あんたがガントレットで暴れてた頃、俺は観客としてあそこにいたんだぜ?
あんたがグレネードで吹っ飛んだ瞬間も見た。最高に興奮したな。死ななくて本当に良かったよ。
あの頃はあんたが近かった。
今は遠くに行っちまったみたいで少し寂しいぜ。
あんたは今、ミラージュと一緒にいるのか?
まさか、二人でこれを読んでるとかねえよな?
そんなのはあんまりだぜ。
でもこの間、久しぶりに直にあんたの姿を見られて嬉しかった。
ゲームがある日、行けるときは必ずあそこで待ってるんだ。あんたはもう来なくなっちまったけど、もしかしたらって思ったら行かずにいられないのさ。
ジブラルタルのやつに邪魔されなきゃ、あんたにキスしてただろうな。
帰ってからあんたと同じ色に髪を染めた。
きれいな金色だ。
彼女は「いくら真似したって、あんたはオクタンにはなれない」なんて言うけど、あいつは何にも分かっちゃいない。
俺がしょっちゅうあんたの話ばかりしてるから、嫉妬してるんだ。
俺たちはよく似てる。
俺の親父はクズで、お袋はビッチだ。
だけど、うんざりして逃げ出したって、華々しい生活なんかどこにもない。全部灰色だ。
教えてくれ。俺とあんたは何が違うんだ?
何もかも上手くいかない日は、一日中あんたの動画を見てる。
昔の動画やら、APEXゲームでチャンピオンを獲ったときのとかな。それを見ると嫌なことも全部忘れられる。
あんたが俺を救ってくれるんだ。
たまに自分の腕を切って、どれくらい血が出るのかを試したりもする。
あんたがあの時流した血が、同じように俺からも流れてると思うと、凄い勢いでアドレナリンが襲ってくるんだ。
あんたの言うこと、やること、すべてリスペクトしてるぜ。
あんたは俺のアイドルだ。
なあ、連絡をくれよ。俺のアドレスを書いておいた。
少し話をするだけでいいんだ。あんたの声が聞きたい。俺だけに話してる声を。

あんたの一番のファンより
P.S. あんたは俺と一緒になるべきなんだ
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